「ラシックス」という利尿剤がある。
体に悪いのだけれど、効果がスゴすぎて、一度手を出すとなかなかやめられない。
この記事では、ラシックス依存症に陥っていた私が、ラシックスを飲んでいるときに体験した副作用と、ラシックスを卒業していった経緯を紹介する。
利尿剤&下剤を乱用し依存症になった私
私(現在30代)は、20代の頃に、利尿剤と下剤を乱用していた時期がある。
とにかく、ガリガリに骸骨のように痩せたくて、無理なダイエットを重ねた揚げ句、「やっちゃいけない」ものにもいろいろと手を出した。
その一つが、利尿剤と下剤。この記事では、利尿剤にフォーカスして書いていく(下剤については次回に)。
ラシックスのジェネリック品、フレティック(Furetic)を愛用
利尿剤は、ラシックスのジェネリック品である「フレティック(Furetic)」がものすごく好きだった。
ラシックスよりずっと安いし、ラシックスと同じか、それ以上の効果がある気がしていた。
ラシックス系の利尿剤は、飲んで数時間後には、体重が3kgとか落ちるのが魅力。
無理なダイエットを繰り返した経験がある人なら分かると思うけれど、ダイエットをすればするほど、「むくみ」がひどくなる。
ちまたで知られているようなむくみ解消法は、当然すべて試すのだけれど、まったく効果が出ない。
そこへラシックス。服用30分後から、ジャージャー尿が出て、3時間後には脚が2周りくらい、細くなる。
足にコンプレックスがあって、とにかく脚やせしたかった私にとって、ラシックスは魔法みたいな薬だった。
ラシックスは細くなる分、副作用が強い悪魔の薬
ラシックスは、信じられないくらい細くなる一方で、副作用が強い、悪魔の薬だ。
私自身、使っているときは、「昔は薬局で買える薬だったんだから、大丈夫だろう」とか、「モデルが撮影前に使っているというし」と言い聞かせて、だましだまし、使い続けていた。
ラシックスをやめたら、むくみがひどくなり、足が太くなるので、使わずにはいられなかった。
ただ、ラシックスって、むくみの原因であるナトリウムを排出するとともに、むくみを抑えてくれるカリウムも排出してしまい、体のミネラルバランスをめちゃめちゃにしてしまう。
私がラシックスを飲んでいるときに感じていた副作用は、次の通り。
ラシックスの副作用
- ラシックスを飲んでいないときのむくみがどんどんひどくなる
- 耳が聞こえにくくなる、耳鳴りがひどい
- 上まぶたがくぼむ
- 階段をのぼると心臓が苦しい
あるとき、電車から降りたら、「ピーーーーーーーーン」と長い耳鳴りが聞こえて、そのまま、世界が遠くなるように感じた。
周囲の音が聞こえなくなった。
心臓が痛かった。
「ヤバい、死ぬかも」
そのとき、ラシックスはもう二度と飲まないと決めた。
二度と飲まないと決めたのに、また飲んでしまう
しかし……、
「ラシックスをもう二度と飲まない!」と決めたはずなのに。
やっぱり、むくんでひどく太くなった足を目の前にすると、耐え切れずにまた飲んでしまう。
利尿剤を入手するためにいつも愛用していた個人輸入サイトにアクセスしては、
- ラシックス
- フロセミド(ラシックスの成分名)
などと入力し、それらの商品のレビューを読み込んでいた。
毎日飲んでいるけど副作用はないという人、キャバクラ・水商売の仕事の後はこれがないとむくむから必需品という人、これのおかげでダイエットに成功したという人、いつも細い体をキープしているという人……
「ラシックスを飲んでも問題がない」という根拠を、一生懸命かき集めては、ラシックスを飲んでも良い言い訳を作ろうとしていた。
むくみを解消するためのまじめな方法にも取り組んだ
とはいえ、むくみを解消するためのまじめな方法にも取り組んだ。
- マッサージ
- アロマオイル
- リファ(Refa)
- 半身浴
- 無塩食
- グリーンスムージー
- アルブミン対策のタンパク質補給
- 着圧ストッキング
- 十分な睡眠 etc.
でも、むくみ、取れなかった。こういう対策で、むくみが取れる人は、それが一番だと思うのだけれど。
かなり無茶なダイエットを繰り返してしまった体は、何かがおかしくなっていて。
でも、痩せたいという気持ちは抑えられなくて。
やっちゃいけない、ラシックスやめたい、と思っているものの、ラシックス依存症から抜け出せないという日々を送っていた。
あるとき、たまたまヒットした「スピロノラクトン」
ここから、実際の対処法について書いていく。
結論からいうと、あるとき、何かをネット検索していてたまたまヒットした「スピロノラクトン」という薬が、ラシックス依存症に陥っていた私を救ってくれた。
スピロノラクトンは、「アルダクトンA錠」や「ハイレス」という名称で販売されている利尿剤だ。
ラシックスとスピロノラクトンの違い
ラシックスもスピロノラクトンも、利尿剤。
じゃあ、ラシックスとスピロノラクトン、何が違うの?というところだけれど、次のような違いがある。
ラシックス
ナトリウムもカリウムも排出する。
スピロノラクトン
カリウムは保持したまま、ナトリウムだけを排出する。
利尿作用以外にも、「女性ホルモン作用」があるため、次のような症状にも使われる。
- ニキビ
- 肌荒れ
- オイリー肌
- 多毛
以前も見掛けたけれど、ラシックスに比較して効果が弱いと思ってた
そういえば、以前も、スピロノラクトン配合のハイレスやアルダクトンA錠を、見掛けたことはあった。
でも、ラシックスに比較して、効果が弱いと思っていた。ガツンとしっかり効果が欲しい私は、どうせ満足できないだろうと思っていた。
満足できないだろうけれど、ラシックスを飲み続けていくことに不安を抱えていたので、ラシックスでカリウムが喪失されることを防ぐ目的で、ラシックスとスピロノラクトン(ハイレス)を併用しようと思って購入した。
ところが。
ハイレスを飲んでいたら、ラシックスを飲む必要がなくなってしまったのだ。
ハイレスは、ラシックスみたいに「服用して3時間以内に3kg減る」というような激しいことはないけれど、「毎日飲んでいると脚がむくまない」のだ。
ラシックスを飲む→細くなる→時間が経つとむくむ→ラシックスを飲む……
この無限ループにハマっていた私は、ただ、夜、毎日ハイレスを飲むだけで、むくみ自体が発生しないことがうれしかった。
医薬品だから処方箋が必要
スピロノラクトン(アルダクトンA錠、ハイレス)は、処方箋がないと入手できない医薬品。
なので、飲みたいという人は、まず主治医に相談してみると良いと思う。
ラシックスを今、何らかの方法で入手して飲んでいるのであれば、それに依存していること&抜け出すために一定期間だけスピロノラクトンの力を借りたいことを、正直に相談してみる。
医薬品だから副作用の心配はあるものの、ラシックス依存症で日々腎臓を痛めつけているよりはずっとマシ、と当時は感じていた(ただ、これは、医師の判断が必要)。
スピロノラクトンは、ニキビにも効果があるので、皮膚科でニキビ治療として処方されることもある。
私自身、飲み始めてから、皮脂が抑制されたせいか、毛穴が目立たなくなったし、実際に私が通ったことのある美容皮膚科でも、ニキビがひどい人にはスピロノラクトンが処方されていた(保険適用外の自費診療だったけれど)。
注意事項(2017/10/13追記)
スピロノラクトンには、薬疹が起きやすい一面もあるため、安易な服用には注意が必要。詳しくは、下記記事参照。
最後に
もしも、私と似たような感じで、ただのダイエットより無理しすぎてしまい、摂食障害・拒食症・過食症に足を突っ込んでいる、利尿剤依存症の人がいたら参考にしてください。
もちろん、異常な細さを求めるゆがんだ心を治したり、多少太っていても自分を認められるようになったり、そういう正攻法で治せる人は、それが一番いい。
ただ、一度無理なダイエットで体を壊したり、壊しかけたりしたことがある人は、いろんなバランスがうまくいかなくて、困ってしまうことがある。
私が切実に悩まされたのは、異常な食欲と異常なむくみだった。
異常な食欲については、リサーチを重ねて、いろんなものを散々試して、解決することができた(詳しくはこちらの記事を参照)。
そして、何年もずっと引きずり続けてきた異常なむくみを解決してくれたハイレスには感謝している。
※重要な追記※注意して欲しいこと
私の個人的な体験談では、ラシックスを乱用するよりはスピロノラクトンを使う方が「体への負担がマシ」だった。しかし、スピロノラクトンも使わないで済むなら、当然使わないに越したことはない。
まして、やせるためにスピロノラクトンを乱用するのは本末転倒で、それはまったくすすめられない。そこだけはくれぐれも注意して欲しい。まずは主治医に相談を。