過去に、摂食障害だった時期がある。
今でも、摂食障害関連のニュースには自然と目が行く。
最近では、女子マラソン元日本代表の原裕美子さんの記者会見を見た。摂食障害をきっかけに窃盗症を発症したという。
原裕美子さんの記者会見
まず、原裕美子さんの記者会見については、下記記事に詳しく書いてあった。
執行猶予期間中に万引きをしたとして窃盗罪に問われ、執行猶予判決を受けた。
万引きしてしまったときの心境部分を引用すると、以下の通り。
家に帰った途端、結婚で騙されたつらいことがグルグル頭の中を回って、食べ吐きせずにいられない。食べ吐きするとその間は辛さを少し忘れられる。やりたくないのに万引きしてしまった。やめたいのにやめられない。あの時生きていることもすごく辛くて、だけど自分が死んだら、周りで苦しむ人がいる。死ねない。だけど家に帰ると地獄のよう。
ある時、ジムが終わってコンビニに飲み物を買いに行った。コンビニの扉を入った時に化粧水が見えて、「そういえば化粧水が必要だったんだ」と思った瞬間、これを盗ったら捕まる、捕まったらこの苦しみから解放される、早く楽になりたい、早くこんな苦しい生活から逃れたい。それしか考えられなくて、その先にどんなに苦しむ人がいるのか、どれだけ多くの人に迷惑をかけるのか、そういうことが全く考えられない。自分が苦しい毎日から解放されたい、それだけで本当に身勝手な行動を取ってしまって、申し訳なかったと思います。
Yahoo!ニュース
これを読みながら、
- 摂食障害のまっただ中にいるときの私は、自分でも信じられないような行動を取ろうとしていたこと
- 何度もハッとして立ち止まり、振り返ってゾッとしていたこと
を思い出した。
私の異常行動体験談
摂食障害の「拒食」に転じていた頃、「絶対に食べない」と鉄の意志を貫きながらも、体は飢餓に陥って、食べ物への異様な執着に悩まされていた。
「あの頃はおかしかった」という象徴的なエピソードとして思い出すのが、パン屋のパンを手づかみで食べそうになったこと。
においだけ嗅ごうとパン屋に入る
その日、パン屋を通りかかった。トングで食べたいパンを挟んでトレーに乗せ、レジに持っていって代金を支払うタイプのお店だ。
- 「食べられないが、においだけ嗅ごう」
と思って、中に入った。
まあ、この時点でかなりおかしいのだ。
「食べたいけど食べられないから、焼肉屋の外に設置してあるダクトから、焼肉の香りを吸い込む」みたいなことを、やっていた時期。
ふわふわパンを手でつかみそうになってハッとする
パン屋に入って、食べられないから、ひとつずつパンを眺めていた。食べる代わりに見るのだ。
じっと見ていた、そのとき。フッと、パンを手でつかみそうになった。
「デパ地下の試食販売用に置いてある食べ物を手で取る」ときと同じテンションで。
無意識のうちに、並べてあるパンが、試食販売と同化して、自然と手が出てしまった感じ。
そこでパクッと食べてしまったら、私も万引き犯になっていた。
幸いなことに、手でつかむ前にハッと我に返り、
- 「わたし、何やってるんだろう」
- 「いよいよ、おかしい」
と、ゾッとする思いを抱えながら、逃げるようにパン屋を立ち去った。
異常行動で人生を棒に振る前にできることは?
では、異常行動で人生を棒に振る前にできることは、なんだろうか。
改めて考えてみたけれど、難しい問題だ。
行くところまで行ってしまうと、もう自分の意志でコントロールできる範疇を優に超えてしまうのが、摂食障害だと思うから。
摂食障害は予防が超大事
そこまで行く前に「予防」するのが何より大事だ。
摂食障害に足を突っ込み掛けたら、即・Uターンして、元の道に戻っていくことを強く強く強くおすすめする。
初期の、自分の意志が通じるうちなら、まだなんとかなる。絶対なる。
すでに行くところまで行ってしまったら
すでに行くところまで行ってしまったなら、自分を抱きしめながら嵐が過ぎるのを待つ。耐え忍ぶしかないなと思う。
つらいけど。とってもつらいけど。もう明日なんていらないと思う日もあるけれど。
そのとき、明日はあるよ、って言われても、まったく響かないことはよく知っている。
- 「あなたにはあるかもしれないけど、わたしにはないから」
……としか、思えなかった。
それで、いいと思う。
前向きなんかじゃ全然なかった。明日なんてないと、いざとなったら消えてしまえばいいと、思っていた。
それでも、だいじょうぶだった。
いま、一分一秒を切り刻まれる気持ちで過ごしている人に、時間が解決するなんて、気安くいえない。
いえないけれど、ただただ、ほんの少しずつでも1ミリずつでも、おだかやな日々に近づきますように。そう願う。