今日からしばし、質問回答。今月その1。
嫌で嫌で嫌で仕方ない仕事との向き合い方
まず、「職場メンタルヘルス」の記事一覧はこちらへ。
人の悩みの多くは「人間関係」だというけれど、関係する人間は、
- 家族
- 恋人・パートナー
- 職場
- 友人
の4つに大きく分けられる。
中でも、「職場」は、「お金=生活」と直結しているので、「どうにもならない」という苦しみを生み出しやすい。
私自身、仕事関連の人間関係に悩んだ時期は長い。そのため試行錯誤してきた。
「やめる」と決めるとびっくりするほど楽になる
私の経験では、一番効果があった方法は「やめる」と決めることだ。
- 「そんなこと言ったってやめられるわけがない…!」
……という気持ちもよくわかる(私もそうだった)。
ただ、ここで言っているのは「やめると決める」という決断だけ。
「やめる」という退職の行動までは含まない。
必ずしも本当にやめなくてもいい。本当にやめるのか・やめないのかは、実は大きな問題ではない。
〈今すぐこの場で気持ちを楽にする〉という目的のために、「会社をやめると決める」ことが、ものすごく効果絶大だったのだ。
やめると決断しただけで、頭と体にみっしり詰まっていたストレスが、スーッと溶けていくようだった。
やめたいのにやめられない・やめると決断できない状況が一番ツラい
「仕事が嫌だ嫌だ嫌だ」「会社に行きたくない行きたくない行きたくない」という渦の中にいるとき、その苦しみの半分くらいは、
- 嫌なのにやらなければならない
- 行きたくないのに行かなければならない
という、「本音とは違う行動を選択しなければならないジレンマ」にある。
やめたいのにやめられない・やめると決断できない状況は、それだけでとても苦しい。
「感情と思考が一致していない状態」ともいえる。
だから、ひとまずの応急処置として、感情と思考を一致させる。
と整合性を取ることで、苦しみの半分くらいは、その場で消すことができる。
やめると決めると人間関係は好転する
では、「やめる」と決めると、実際に何が起きるか。
私の体験では、やめると決めると、途端に人間関係は好転した。
- 会社を退職するときに、辞意を伝えてから退職日までの間、急に居心地が良くなった
という体験をしたことのある人も、いるかもしれない。
「これなら、やめなくても良かったかな?」なんて思えてしまうほどに。
この理由のひとつは、「やめる」と決めた途端に、自分が吹っ切れて本音がいえるようになり、その分「強者」となって、周囲の支配やイライラ攻撃や嫉妬を、受けなくなったからだろう。
今までは、上司や同僚の顔色を見ながら仕事をしていて、相手に舐められたり甘えられたり、逆に態度が悪いと勘違いされたり、緊張して強ばったり、うまくいかなかった。
それが、一瞬にしてすっ飛んでいくイメージ。
「やめる」と決めると、職場の人は自分に関係ない、ただの他人になる。人間関係はリセットされる。
相手と自分の境界線が曖昧になっていた場合、ここで正しい位置に距離が戻る。適切な距離感が生まれるのだ。
実際にやめるか・やめないかの行動は置いておいて、思考だけ「やめる」と決断してしまえば、このモードに入れる。
やめると決めると視野が広くなる
もうひとつ、やめると決めると良いことは、視野が広くなることだ。
- この会社しかない
- やめたら生きていけない
- 首になったらどうしよう
……と凝り固まっていると、視野がとことん狭くなって、目の前の上司が世界のすべてのように錯覚してしまう。
会社にいる時間のみならず、家にいるときも、プライベートで外出しているときも、頭の中が上司で占領されているなんて、非常にもったいないことだ。
(私はこの状態に陥っている自分に気付いたとき、心底ゾッとした。嫌いな人のことで人生をいっぱいにしていたのだから)
それが「やめる」と決めてしまえば、自然と「自分の可能性」に意識がいくようになる。
こんなこともできるし、あんなこともできる。いま何歳であっても、私はこれから何者にもなれる。
固く握りしめてきたこぶしを、そっと開く勇気が生まれるかもしれない。
氷河期に就職活動していた人は要注意
最後にひとつ、注意点。
高校卒業時・大学卒業時などの就職活動の時期が、いわゆる「就職氷河期※」だった人は、
- ここでしか生きていけない
という固執した思考になりやすいので、意識的に注意が必要だ。
※一般に1993年~2005年卒と2011年~2013年卒に就活した世代
「上司に嫌われてはいけない」という恐れを強く抱いているのなら、それは世代特有のものかもしれない。
自分の性格の問題と思い込んでいたなら、真の原因は自分の外にあると気付くだけで、何かが変わり始めるはずだ。