先日、久しぶりにあがり症に関する本を読んだことがきっかけで、改めて身体の使い方を研究していた。
それで、とうとうコレだ!という発見をした。
先日読んだあがり症の本
先日読んだあがり症の本は、下記。
身体・精神の両面からのアプローチが詳しく書かれていて、実践してみていた。
本の中で紹介されていた方法からヒントを得て、自分流のやり方をあれこれと試行錯誤する中で見つけたのが、あがり症・緊張の赤面スイッチをOFFにする体の使い方だ。
赤面スイッチがOFFになる体の使い方
このブログでは、たくさんのあがり症対策を試しては記事にしてきた。
今回みつけた方法は、その中でも「コレは、もしかして最高に効くかも」と思えた。
それは〈肩を下げる〉という方法。ただし、コツがある。
「緊張で上がった肩を緩めて下げてリラックスする」というイメージではない。
むしろ「ギュッ!!!」と肩の筋肉に入れて、“スーパーなで肩”の人になったつもりで、下に引っ張るのだ。
- 両手に重い荷物を持って腕が肩ごと下に引っ張られるイメージ
- 頭と肩を限界まで離して首が長くなるイメージ
のふたつを同時に行う感じ。
ワキの下や肩甲骨の筋肉も収縮させて、できる限り肩を下に引っ張る。
緊張に向かう身体を意志でコントロールする
私は緊張すると顔に血がのぼるのがコンプレックスだった。
顔に血がのぼっているときの身体の様子を観察すると、
- 肩が上がる
- 首が詰まる
- 顎が前に出る
ということが起きている。
今まで緊張したら「体の力を抜いてリラックスしようしようしよう」と並大抵ではない努力をしてきたが、いつもなぜか大失敗する。
リラックスして力を抜いて、深く深呼吸すればするほど、緊張が増して汗だくになる大惨事。
その理由は、
- 体の力を抜けば抜くほど、緊張によって発生している動きに対する抵抗がなくなり、ますます緊張の方向へ体が行ってしまい、収拾が付かなくなるのではないか?
と仮説を立てた。
つまり、緊張してきた!と察知してリラックスしようと努力すればするほど、肩は上がり首は詰まり顎が前に出て、顔が真っ赤になって精神の動揺が激しくなっていたのでは?と思ったのだ。
そこで、リラックスしようとするのは金輪際やめて、緊張によって発生している動きに全力で抵抗することにした。
筋肉を弛緩させず、逆に収縮させて〈とにかく肩を下に力一杯下げる〉というのを試してみた。
これが、ドンピシャだったのだ。
タモリを想像する
この動作をするときは、スーパーなで肩になりたいので、タモリを想像している。
彼は極度のなで肩で、学生時代のあだ名が「やじるし」だったのだとか。
なで肩すぎて肩掛けバッグも使えないらしい(ずり落ちてしまうので)。
そんな「スーパーなで肩」を想像して、タモリになったつもりで肩を全力で下に下げる。
ついでに、タモリの動揺せずに淡々ひょうひょうとした風体も自分にダウンロードするイメージで。
肩を下げるのが一番効いた
「緊張によって発生している動きに対する抵抗する」という理論に基づけば、肩を下げる以外の動作でも効果がありそうだ。
緊張したとき自分の身体に起きる特徴を事前に把握しておき、その逆をするのだ。
「赤面しないように」「汗が出ないように」「震えないように」など結果として出ている最終症状に抵抗するのではなく、その手前で起きている身体の動きに抵抗するのがコツ。
- 顎を引く
- 首をのばす
- 骨盤を立てる
- 背骨をまっすぐにする
などなど。
赤面しやすい私の場合は、一番効果が感じられたのは〈肩を下げる〉という動作だった。
赤面のスイッチが肩にあるのかしら?と思うくらい、まったく頭に血がのぼらない。
カーッとくる感覚がないので、落ち着いて、相手のことを落ち着いて見ることができる。
相手に意識がいくので、自意識はおとなしくなって、ますます緊張しない。
毎日のパワー系のヨガで体が動かせるようになったのは大きい
この方法が他の人にも効果があるのかはサッパリわからない。
ひとつ気になる点として、現在の私は毎日パワー系のハードなヨガをしている。体の柔らかさと筋肉が両方とも備わっている状態だ。
「肩を下げる」といったときに、筋肉を意識的に動かせるのは、身体を使い慣れているからなのかもしれない。
過去のまったく運動していなかった時期の私だったら、筋肉が凝り固まって身体の可動域が狭く筋肉が少ないため、意図的に肩を下げる動作が難しかったかもしれない。
その状況であれば、まずはストレッチや筋トレなどで首や肩の状態を改善することから始めなければならない。
バレエでは肩を下げることが重要らしく「肩を下げるストレッチ」などと検索するとバレエ系の動画や記事が大量に見つかる。
まずはそういったストレッチから始めるのも良さそうだ([肩を下げるストレッチ]の検索結果はこちら)。
私にとっては「身体をコントロールできるようになると緊張もコントロールできるのだ」と、なんだかものすごく可能性を感じた発見だった。
平時に練習できて見た目にわからないという長所
この方法の良いところは、平時に練習できるところだ。
ワーッと緊張して舞い上がったときに初めてぶっつけ本番で試す手法ではなくて、普段から「その状態」を練習しておくことができる。
緊張しそうな場面に挑むときには、その前からスーパーなで肩に変身して準備することも可能だ。
やっていても「見た目にわからないところ」もいい。
ジャンプや肩回しや体操などはできる状況が限られるが、肩をグッと下に下げるだけなら人前に立って話している瞬間でも問題なくできる。
追記:「能動的に体幹に力を入れる」ことが功を奏しているのかも
ここからは追記。
先日読んだ「リラックスのレッスン~緊張しない・あがらないために」に、「緊張して身体に過剰な力みが入ることは自然なこと」だという記述がある。
精神的に緊張することはナチュラルなことと書きましたが、ここ一番という時に無意識に身体に過剰な力みが入ることも、じつは自然なことです。
道を歩いている時、突然、横の路地からバイクや車が飛び出してきたと想像してみて下さい。あなたの身体はどうなっていますか?肩が上がり、首がすくみ、全身の筋肉が緊張しているはずです。
筋肉を緊張させると、まるで鎧のように内臓を守ることができます。肩を上げ、首をすくめることで、大切な延髄を守ることができるのです。
感動的なのは、危険が迫った時、脳が「あ、危ない!筋肉を緊張させて内臓を守ろう!」と命令しているわけではなく、条件反射としてこうなっていることです。
もし、脳がいちいち命令しないと緊張しないのなら、人間の身体は激しいダメージを受けていたでしょう。
大昔、木から落ちた時、崖から足を踏み外した時、獣に襲われた時、人間は脳が意識的に命令する前から、瞬時に筋肉を緊張させて自分の身体を守ってきました。
人間が種として生き延びることができた、極めて優れたメカニズムです。
リラックスのレッスン~緊張しない・あがらないために
これを読んで、長年の疑問が一気に解決した気がした。
「身体が行うことにはすべて意味がある」と考えてきたが、では「なぜ緊張したときに体にマイナスの症状が現れるのだろう?」という点が腑に落ちないでいた。
しかしそれは思考から見たらマイナスなだけで、「危険を感じた身体が生命を守るためのメカニズム」と考えれば、合点がいく。
命を守ろうとする本能に思考で逆らってリラックスしようとするほど、身体がさらに強く緊張(=身を守る)方向へ強く働くであろうことも想像できる。
「肩を下の方向へギュッと力を入れて引っ張る」という手法の仕組みを考えるとき、「(能動的に)力を入れる」のもポイントかもしれないと思った。
前半で、
- 「リラックスしようとするのは金輪際やめて、緊張によって発生している動きに全力で抵抗することにした」
と書いたが、実はこれは「緊張によって発生している動きに全力で協力する」ことにもなっており、相乗効果で本能による身体の力みが解除されるとも考えられる。
その観点で見直してみると、私は肩にギューッと力を入れるとき、肩の筋肉を硬直させるのと連動して、腹筋と背筋にもギューッと力が入っている。
体幹の筋肉が硬直している状態だ。すなわち、固めた体幹の筋肉で内臓が守られている状態。
これが身体の緊張をOFFする本当のスイッチなのかもしれない。