今月の質問回答。
私も本が読めない状況に陥ったことがある
私も、ずっとコンスタントに読書をしてきたわけではない。全然本が読めなくなったことがある。
昔は好んで読んでいた長編小説なんかもってのほかで、目がすべって内容が頭に入らず、すぐに飽きてしまう。
本を読まなくても生きていけるけれど、本から得られる心の機微やひとり耽る世界や言葉が織りなす美は、本にしかないもの。
映画、テレビ、漫画、雑誌、ネットなどに偏った生活を送りながらも、再び本が読めるようになりたいと思っていた。
紙の本が読めない原因はスマホ&ネットかも
本が読めないからといって文字離れしているかというと、真逆だ。
インターネット、メール、SNS……とこれだけ文字漬けになって生きる時代は初めてなんじゃないか。
それなのに本への苦手意識が募ってしまったのは、なぜなのだろう。
スマホサイズじゃないと目線が動かしづらい
ひとつは「目線の動かし方」だと思う。
スマホサイズ(幅7cm)で改行する小さな文字に慣れているので、紙の本の縦に目線を動かすのが、ちょっと疲れてしまう。
紙の本を持つと手が疲れる
スマホを片手に持ってテキストを読むことに慣れると、「紙の本が重い」と感じる。
片手でペラペラとめくるわけにいかないので、紙の本を持っていること自体が面倒くさい。
ネットの単純化された文章に慣れすぎた
ネットの文章は、わかりやすさを追求した結果、かなり単純化されている。
ネットニュースもブログ記事もTwitterも、回りくどい言い回しや読み手が考えないと理解できない難解な文章は評価されない。
インターネットを通して日々たくさんの文章に触れているけれど、実は単純な文章にしか触れていない。
出てくる単語もできる限り容易なものが選択される。文字化けリスクのある難解な漢字は使用されない。
一方、本を手にすると、全く違った世界に放り込まれる。
言い回しが文学的になり、比喩表現が詩的になり、考えることを要求され、見たこともない漢字が出てくる。
「本が読めない」と感じるのも、当然だと思う。
「本が読めない」の解決方法
スマホ・インターネットにどっぷり浸かったがゆえに本を読めなくなったのなら、ちょっとしたリハビリが必要になる。
私も振り返れば、「本が読めない」と感じてから再び読めるようになるまでの間に、リハビリを行っていた。
知っている話を読む
リハビリの一番目は、知っている話を読むということ。
理解しづらい本は、誰だって難しいと感じて飽きてしまう。
それなら、最初から理解している本を読むのだ。
昔好きだった本を再読したり、映画などでストーリーを知っている話の原作を読んだりするのがおすすめ。
児童書から読む
リハビリなので、小さい頃に戻り同じ道筋を辿るという意味で、児童書もとてもいい。
私が何年も本から離れていた時期、本の世界に戻ってくる直接的なきっかけになったのが、ハリーポッターだった。
子どもたちに大人気の本だけあって、本を読むのが久しぶりだった私でも夢中になって読むことができ、一気に全巻を読み尽くしてしまった。
それが「私もまだ本が読めるんだな」という自信になった気がする。
ルビの振ってある本を読む
文字通り読めない文字があると、一気に本を読む気が萎える。
なんと読むのかわからない難解な漢字が出てくると、それだけで嫌になる。
たとえ言葉の意味がわからなくても、読み方がわかるだけでスムーズに読み進められることは多い。
そういう意味では、ルビの振ってある本は読みやすい。
電子書籍の表示方法を徹底的に工夫する
スマホ慣れした目で本を読むためにとても助かったのが、電子書籍の存在。
私はAmazonのKindle端末を持っている。Kindleを買わなくてもKindleの無料アプリをスマホに入れれば電子書籍が読める。
Kindleやアプリで本を読むとき、最初は大きな文字で読んだ方が読みやすいだろうと思っていた。が、実際に試して見ると、そう単純でもなかった。
いろいろなパターンを試した結果、私はKindleで読むときもスマホアプリで読むときも、最も小さなフォントサイズに指定している。
速読テクニックでは、読んでいる行の数行先の行まで視界に入れておくことがコツらしい(無意識下でゲシュタルトを構築しておくことで理解しやすくなる)。
これに従えば、小さいフォントサイズに設定して、できるだけ多くの文字が視界に入る状態で読み進めた方が読みやすい感覚がするのも、理にかなっている。
Kindleの縦幅(高さ)を目線で追うのは、スマホ慣れした目には疲れるので、私は横使いをしている。
実際の画面はこちら。

フォントは太字にして文庫本に近い見た目にしている
比較用として「標準」の設定だとこうなる↓。

これだと一度に視界に入る文字数が少なくてゲシュタルト構築が起きない
Kindleは、わからない言葉をタップするだけで辞書が立ち上がり、読み方と意味を教えてくれるのも便利。
Kindleをスタンドにのせる
Kindleは横持ちすれば片手で持てなくはないが、机に座って読むときには、スタンドに置いている。
これだと、指1本でタップするだけでラクにページめくりができて、疲れない。
毎日ちょっとずつ読む
本は、読み慣れてくるとどんどん読めるようになっていく。
だから毎日、ほんのちょっと(1ページでもいい)から読んでいく。
いきなり難しい本からチャレンジすると1ページだとしてもストレスになるから、ここまでに挙げた工夫をして、簡単で好きな本から読んでいくといいかもしれない。