筋膜リリースはテレビや書籍で取り上げられる機会も増え、フォームローラーを使ったセルフケアを日課にしている人も増えている。
しかし、筋膜リリースには明確な“やってはいけない人”が存在する。
とくに悪性腫瘍を抱えている人が知らずに行うと、取り返しのつかない結果を招きかねない。この記事では、筋膜リリースの基本的な仕組みから、見落とされがちな禁忌まで整理する。
筋膜リリースが話題らしい
先日、筋膜に関する記事を書いた。

「筋膜リリース」は金スマなどでも紹介され、大変話題になっているらしい。週刊ポスト 2017年3月3日号によると、
竹井氏が提唱する「筋膜リリース」は肩こりや腰痛を解消する新しい手法として話題を呼んでいる。
16年6月に発売された著書『自分でできる!筋膜リリースパーフェクトガイド』が、1〜2月にかけて『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBS系列)で紹介され、Amazonの書籍総合ランキングで1位に浮上(2月14日時点)。
22万部突破のべストセラーとなっている。
週刊ポスト 2017年3月3日号
“22万部突破のベストセラー”と紹介されているのは、下記の本。

筋膜とは何?
記事内では、前述の本の著者である竹井仁氏が、「筋膜」について解説。
そもそも「筋膜」とは馴染みのない言葉だが、何を指しているのか。
「筋膜は筋肉を束ねて包み、 形を保持する役割を持つ膜です。
鶏肉を調理するときに皮をはぐと、肉の表面を薄く覆う白い膜があります。あれが筋外膜と呼ばれる筋膜の一種です。
他に一本一本の筋線維を覆う筋内膜などの細かい分類があり、それらを総称して筋膜といいます。
筋膜はコラーゲンやヒアルロン酸を多く含むため、潤滑剤となって筋肉同士の摩擦を軽減し、滑らかな動きを助ける役目もあります」
週刊ポスト 2017年3月3日号
「鶏肉の皮をはぐと、肉を覆っている白い膜」、これは料理をする人にとっては、非常に分かりやすい例だ。たしかに、鶏皮と肉の間に、白い薄い膜が張っている。あれが、筋膜。
肩こり・腰痛の原因も筋膜リリースで解決する
私は今まで下半身の筋膜リリースに取り組んでいたが、上半身の慢性的な悩みにも、筋膜リリースが効くらしい。
それは、筋膜は、内臓を覆う膜も含めて全身につながっているから。たとえば、〈足首の筋膜をリリースしたら肩こりが良くなる〉なんてケースもあるらしい。
「すべてはつながっている」という考え方には納得感があるけれど、物理的に膜でつながっていたなんて驚きだ。筋膜の不調が遠く離れた部位に波及するメカニズムを理解すると、「肩が凝ったから肩だけ揉む」という対処が、いかに表面的かを思い知らされる。
筋膜リリースを行う上での注意点
筋膜リリースをする上で、理解しておかないといけないと思ったのは、記事の最後に記載されていた注意ポイント。以下引用。
①凝集したコラーゲンがほぐされるにはある程度時間がかかる。無理せず痛みを出さないようにゆっくり持続的に伸ばす。ひとつの運動に慣れてきたら90秒以上継続して行なえるように心がける。
②筋膜リリースの際には体のどこが緊張しているかを感じることに留意する。
③ゆっくりと呼吸し、体全体のつっばり感をほぐし、バターが溶けるように柔らかくなる感覚を大切にする。
④午前、午後、入浴後など時間を決めて1日に数回実施。終了後は組織内に溜まった有害物質を流し、不快感を緩和するために常温の水を1〜2杯飲む。
週刊ポスト 2017年3月3日号
簡単にまとめると、
- ゆっくり行う(最初は20〜30秒から始め、慣れたら90秒以上を目標にする)
- 体の感覚をしっかり感じ取る
- バターが溶けるような柔らかさの感覚を大切にする
- 終わったら常温の水を飲む
ということだ。
筋膜リリースは、じ〜っくり、ゆ〜っくり、ひとつひとつヨガのポーズを取るような気持ちで取り組むと良いのかもしれない。
筋膜リリースをしてはいけない人とは?
さらに、「筋膜リリースをしてはいけない人」も存在するそうだ。
たとえば、悪性腫瘍(がん)がある人。単に刺激を与えてはいけないという意味ではなく、もっと明確な理由がある。
悪性腫瘍(がん)がある人が筋膜リリースをしてはいけない理由
腫瘍のまわりには特殊な膜が形成されており、これがバリアとなってがん細胞の転移を防いでいる。筋膜リリースによってこの膜に外部から刺激を与えてしまうと、バリア機能が損なわれ、転移のリスクを高める可能性があるという。
これは絶対に筋膜リリースをやってはいけないケースだ。
ほかにも、健康長寿ネット(公益財団法人 長寿科学振興財団)によれば、筋膜リリースの禁忌として以下が挙げられている。
- 悪性腫瘍(がん)
- 開放創(皮膚の開いた傷)
- 縫合部がある場合
- 全身あるいは局所の感染症
また、ほかの専門的な文献では、これらに加えて以下も禁忌とされている。
- 動脈瘤(血管の壁が膨らんだ状態)
- 急性期の関節リウマチ
- 血腫(体内に血液が溜まった状態)がある部位
- 治癒の過程にある骨折部位
テレビや雑誌では「手軽にできるセルフケア」として筋膜リリースが紹介される場面が多い。しかし、上記のような禁忌に該当する人が安易に実践すれば、症状の悪化どころか命に関わる事態にもなりかねない。
また、けがをしている部位の筋膜リリースを避けるのは当然として、「別の場所なら大丈夫だろう」と自己判断するのも危険。筋膜リリースではさまざまな体勢をとるため、けがや病変のある部位にも間接的に負荷がかかる可能性がある。
不安がある場合は、必ず医師に相談してから始めよう。

