「コーヒーは体に良い説」側のデータ収集メモ(随時更新)

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ここのところ、コーヒーをよく飲むようになった。

「コーヒー」自体の是非は、さまざまな研究を見ても、良いとする説・悪いとする説、いろいろある。この記事では、「コーヒーは体に良い」とする説のデータを収集している。

目次

私の現時点での結論は条件を満たせばとても良い

データの前に個人の体験談を先に書いておく。現時点での私の身体実験に基づく結論は、条件を満たせば、コーヒーは美容や健康にとても良い

“条件を満たせば”とつけているのは、「コーヒー」と一口にいっても、その質や状態はさまざまだから(コーヒーに限らず何事もそうだが)。

缶コーヒー、コンビニ、コーヒーチェーン、老舗の喫茶店、専門店、自分で淹れたコーヒー……と、これらを一緒くたには語れない。

私の調子が良い条件

私が「コーヒーを(かなり多めに)飲んでいて調子が良い」と感じるのは、次の条件下における実験の結論だ。

  1. 専門店で高品質な豆を購入する
  2. 焙煎したての豆を購入し、焙煎日から2週間(長くて1ヶ月)以内に飲みきる
  3. 豆のまま(挽かない状態)で購入し、飲む直前に自宅で挽く

以前は近隣のコーヒー専門店で、その日に焙煎した豆を買っていた。最近は、注文後に焙煎して発送してくれるオンラインショップから買っている。

「挽きたて」より「煎りたて(焙煎したて)」が重要

いったん言葉を整理しておくと、

  • 焙煎」=コーヒーの生豆を火熱で煎ること
  • 挽く」=焙煎したコーヒー豆を粉にすること

…だ。

珈琲倶楽部

「挽きたてコーヒー」という売り言葉をよく見掛ける。しかし、挽きたてであることより「煎りたて(=焙煎したて)」であることのほうがずっと重要だ。

焙煎してから時間が経つほど、コーヒー豆は酸化して、おいしくなくなってしまう(美容的にも、酸化したものを体に入れたくない)。

焙煎から時間が経ったコーヒー豆をいくら「挽きたて」で飲んでも、味的にも体的にも良くない。

(補足)焙煎日から飲み頃の時期

補足として、焙煎直後はベストな飲み頃ではないとされている。焙煎後の豆は「炭酸ガス」を放出するからだ。炭酸ガスの放出が落ち着き、味が安定するのは焙煎日から3日後くらいからといわれる。

ただ、これも好みがありそう。私は「焙煎直後の豆も、浅めな風味でおいしい」と感じる。味の変化を楽しんで、焙煎直後から飲んでしまう。

味が安定した3日後からは、劣化が始まっていく。できるだけ早く飲めば飲むほど、おいしく飲める。2週間くらいで飲み切りたいところ。

コーヒーは体に良いというデータ

前述の条件下で準備した豆で、自分で淹れたコーヒーを飲んでいると、体の調子はすこぶる良く、頭の回転も良く、仕事の集中力もピカピカで、「コーヒー大好き」となっていた。

ここまで、長くなったが前置き。ここからは「コーヒーが体に良い」とする研究データや有用成分の情報を、私なりにまとめておく。

「死亡リスクが24%下がる」という大規模研究

まず、インパクトの大きいデータから。

国立がん研究センターの予防研究グループが約9万人を長期追跡した多目的コホート研究(JPHC Study)では、1日3〜4杯のコーヒーを習慣的に飲む人は、ほとんど飲まない人と比べて全死亡リスクが24%低いという結果が出ている。しかも死因別に見ると、心疾患・脳血管疾患・呼吸器疾患のいずれでもリスク低下が認められた。

さらに日本の8つのコホート研究を統合したプール解析(男女合計約31万人、追跡期間17年)でも、1日5杯未満のコーヒー摂取で全死因死亡リスクが有意に低下するという結果が出ている。

「コーヒーは体に悪い」ともいわれてきたが、逆に死亡リスクを下げることが示唆されている。

国立がん研究センター がん対策研究所「コーヒー摂取と全死亡・主要死因死亡との関連について」(JPHC Study)、Iwai N et al., Am J Clin Nutr. 2015;101(5):1029-1037.、国立がん研究センター がん対策研究所「日本人におけるコーヒー摂取と全死亡および疾患別死亡リスク」(Prev Med, 2019;123:270-277)

「朝に飲むと死亡リスクが下がる」という最新研究(2025年)

2025年にEuropean Heart Journal(欧州心臓病学会の学会誌)に掲載された研究は、コーヒーの健康効果をさらに一歩踏み込んだ内容だった。

米国の4万人以上の成人(NHANESデータ、1999〜2018年)を対象に、コーヒーを飲む「時間帯」と死亡リスクの関係を初めて大規模に調べた研究だ。その結果、朝にコーヒーを飲む習慣のある人は、ほかの時間帯に飲む人やまったく飲まない人と比べて、全死亡率・心血管疾患による死亡リスクがいずれも低いと報告された。

理由として研究チームが挙げているのは主に2つ。1つめは、朝のコーヒーが体内時計と一致してスムーズなエネルギー補給になること。2つめは、体内の炎症マーカー(CRPやIL-6など)が朝にピークを迎えるため、朝にコーヒーのポリフェノールを摂取すると炎症抑制の効果が高まる可能性があるという点だ。

逆にいうと、午後〜夜のコーヒーはカフェインがメラトニン(睡眠ホルモン)の分泌を抑え、睡眠の質を下げるリスクがある。コーヒーの恩恵を最大化するなら、「朝〜昼までにまとめて飲む」のが現時点でのベスト戦略のようだ。

Wang X, Ma H, Sun Q, et al. Coffee drinking timing and mortality in US adults. Eur Heart J. 2025;00:1–11. doi:10.1093/eurheartj/ehae871

コーヒーに含まれる「美容・健康成分」

コーヒーには多種多様な有用成分が含まれているが、とくに注目すべきものをまとめておく。

ニコチン酸(ビタミンB3):老化を遅らせる若返り成分

ニコチン酸は、コーヒーのほかにはキノコ・ピーナッツなど、ごく限られた食品にしか含まれない成分だ。ちなみにタバコの「ニコチン」とはまったくの別物。

ニコチン酸は、体内でNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)という補酵素に変わる。NADは細胞の傷を修復し、ミトコンドリアでエネルギーを生み出す、いわば“生命維持の要”のような存在。

問題は、このNADが加齢とともに減少する点にある。NADが不足すると、体がガソリン切れの車のようにパワーダウンし、筋力の低下や免疫力の低下、肌の老化など、さまざまな加齢性の不調につながる。

ニコチン酸を外から補給すればNADを増やせる。そしてコーヒーは、日常的にニコチン酸を摂取するのに最も手軽な食品だ。深煎りの豆10gあたり3〜5mgのニコチン酸が含まれ、1日2〜3杯飲めば必要量に近い量を確保できる。

近年は「NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)」というサプリメントがアンチエイジング界隈で話題だが、NMNはNADの前駆体にあたる物質。コーヒーのニコチン酸も同じ経路でNADに変換されるため、高額なNMNサプリに頼らなくても、コーヒー習慣がエイジングケアの一助になる。

最近話題のNMN(コーヒーでも類似の効果が期待できる)(California Gold Nutrition, NMN)
最近話題のNMN(コーヒーでも類似の効果が期待できる)
California Gold Nutrition, NMN

クロロゲン酸:シミや皮膚老化リスクを抑える成分

クロロゲン酸は、コーヒーに豊富に含まれるポリフェノールの一種で、コーヒーの健康効果の“主役”ともいえる成分。

強い抗酸化作用を持ち、活性酸素によるダメージから細胞を守るはたらきがある。体内ではフェルラ酸という成分に代謝され、血小板の凝集を抑えて血液をサラサラにする効果も報告されている。脳梗塞や心筋梗塞の予防にも寄与する可能性がある。

美肌方面でも注目度が高い。コーヒーを1日2杯以上飲む女性は、紫外線による顔のシミが少ないという実験結果がある。さらに2024年に発表された研究(メンデルランダム化解析)では、コーヒー摂取量が多い人は顔の皮膚老化リスクが約15%低いとの結果も示された。

食後の急激な血糖値上昇を抑える作用も確認されており、食事と一緒にコーヒーを飲む習慣はダイエットや糖尿病予防の観点からも理にかなっている。

注意点としては、クロロゲン酸は深煎りにすると大幅に減ってしまう。浅煎りのコーヒーには深煎りの2倍以上のクロロゲン酸が含まれるとされる。美肌や血糖値コントロールを重視するなら、浅煎りを選ぶのがベターだ。

【補足】ニコチン酸とクロロゲン酸は「焙煎度」が逆

じつは、ニコチン酸が多いのは深煎り、クロロゲン酸が多いのは浅煎りと、両者は真逆の関係にある。これが少し悩ましい。

両方の恩恵を得たいなら、浅煎り豆と深煎り豆をブレンドして飲むのが賢い方法。あるいは、朝は浅煎りで目覚めのポリフェノールを摂り、昼は深煎りでニコチン酸を補給する、と飲み分けるなど。

カフェイン:集中力・脂肪燃焼・むくみ軽減など

コーヒーといえばカフェイン。眠気覚ましや集中力アップの代名詞だが、ほかにもさまざまな効果が報告されている。

脂肪燃焼の促進、利尿作用によるむくみの軽減、肝臓の保護作用など。がん研究の分野でもカフェインの抗腫瘍効果が注目されている。

いっぽうで、飲みすぎは不眠・胃酸過多・カフェイン依存などのリスクにつながる。海外のガイドラインでは健康な成人のカフェイン摂取量の目安を1日400mg(コーヒー4〜5杯程度)としている。ただし、カフェインの感受性には大きな個人差があるため、自分の体の反応をよく観察しながら適量を見極めるのが大事。

Fukushima Y et al., J Agric Food Chem. 2009;57(4):1253-1259.、Liu X, Li X, Ma J. Beverage consumption and facial skin aging: Evidence from Mendelian randomization analysis. J Cosmet Dermatol. 2024. PMID: 38178620.、農林水産省「カフェインの過剰摂取について」

そのほか報告されている健康効果

上記の成分以外にも、コーヒーの習慣的な摂取と関連が指摘されている健康効果は多い。代表的なものを簡潔にまとめておく。

糖尿病リスクの低下:1日3〜4杯のコーヒー摂取で2型糖尿病のリスクが低下するという報告が、国内外の複数の研究で一貫して確認されている。カフェインレスコーヒーでも同様の効果が認められている点が興味深い。

肝臓の保護:脂肪肝や肝硬変のリスク低下との関連が報告されている。肝臓がんのリスク低減を示唆する研究もある。

認知機能の維持:適度なカフェイン摂取が認知機能の低下を遅らせ、アルツハイマー病やパーキンソン病の発症リスクを下げる可能性が研究されている。

ストレスの緩和:2025年の日本栄養・食糧学会大会(第79回)では、コーヒーの摂取がストレス負荷後のリフレッシュやリラックスに寄与するという研究結果が報告された。コーヒーの香りそのものにもリラックス効果がある。

国立がん研究センター がん対策研究所「コーヒー摂取と肝がんの発生率との関係について」(JPHC Study)、Poole R et al. Coffee consumption and health: umbrella review of meta-analyses of multiple health outcomes. BMJ. 2017;359:j5024.、国立がん研究センター がん対策研究所「日本人におけるコーヒー摂取と全死亡および疾患別死亡リスク」(Prev Med, 2019;123:270-277)

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