さて、超分かりやすい美白解説も、4回目。今回は「メラニンの邪魔をする」の回。
メラニンの邪魔をする策は3つある
前回はケラチノサイトからメラノサイトへの合図を妨害する策について書いた。
しかし、ケラチノサイトでの攻防むなしく、「メラニン作って〜!」の合図がメラニン生成工場である「メラノサイト」に送られてしまった場合。
ここからできる策は3つある。
- メラニンの材料を減らす
- メラニンを作れないようにする
- メラニンを出荷できないようにする
順番にひとつずつ解説していこう。
メラニンの材料を減らす
メラニンを作ろうとしても、材料がなければ、作ることができない。
メラニンの材料となるのは「チロシン」という成分。
チロシンとは?
チロシンは、必須アミノ酸のひとつ。
- 神経伝達物質として働く
- メラニンの材料となる
- 甲状腺ホルモンの材料となる
というもので、体にとっては非常に重要なもの。
特に、「神経伝達物質として働く」ので、不足するとうつ病などの精神病のリスクがある。
ただ、一方で、チロシンが過剰になると、メラニンも過剰になる。
すると、
- シミ
- そばかす
- くすみ
などの原因になってしまうから要注意。
チロシンを含む食品は?
チロシンは、
- 乳製品(特にチーズ)
- 大豆
- ピーナッツ
- アーモンド
- たらこ
などに多く含まれている。
適量なら問題ないけれど、過食的にハマって食べている人は要注意。
また、
- サプリメント
で大量に摂取するようなことも、メラニン対策を考えると避けた方が良い。
メラニンを作れないようにする
さて次に、メラニンを作れないようにして、邪魔する方法について。
前の章で「チロシンがメラニンの材料になる」と書いたが、チロシンに「チロシナーゼ」という酵素がドッキングすると、チロシンがメラニンに変換される。
だから、「チロシナーゼを邪魔する」と、チロシンはメラニンに変換されなくなる。
美白成分の解説で「チロシナーゼを阻害する」という言葉が出てくることがあるが、それはこのこと。
で、チロシナーゼを阻害する代表的な美白成分が、「ハイドロキノン」。
ハイドロキノンとは?
ハイドロキノンは、チロシンよりも先に、チロシナーゼとくっついてしまう。
という仕組み。
しかも、ハイドロキノンのパワーって強力で、徹底的にメラニンが作れないようにしてくれる。
ハイドロキノンの副作用
- 「じゃあ、ハイドロキノンを塗りまくろう!」
と言いたいところだけれど、ちょっと待って。
ハイドロキノンには、実はいろいろと副作用がある。
ハイドロキノンは、メラニンの生成を邪魔するだけでなく、メラニンを還元※1する作用も強い。
俗に、「肌の漂白剤」と言われるほどの効果を持っていて、劇薬的な効き方をする。
まだらに色抜けしてしまうケースもあるので、使うときには信用の置ける美容クリニックなどでよく相談して使った方が良い。
※1:メラニン還元についてはこのシリーズの後半で紹介する
ハイドロキノンよりマイルドで、チロシナーゼ阻害できる成分は?
ハイドロキノンは素人がやすやすと手を出すには危険すぎるブツ。
そこで、ハイドロキノンより効果がマイルドだけれど、その分、安全にチロシナーゼ阻害できる成分を紹介しておく。
- アルブチン
- ルシノール
- コウジ酸
- ビタミンC
- プラセンタ
- 油溶性甘草エキス(グラブリジン)
メラニンを出荷できないようにする
最後に、もうできてしまったメラニンを、メラニン生成工場(メラノサイト)から出荷できなくする方法について。
メラノサイトでメラニンが生成されると、表皮細胞へと出荷される。
その受け渡しを邪魔すれば、例えメラニンができてしまったとしても、シミやくすみにはつながらない。
このメラニン受け渡しを邪魔する成分が「プルーン分解物」。
プルーン分解物とは?
プルーン分解物は、プルーン(セイヨウスモモ)の果肉を分解して得られる成分で、メラニンを表皮細胞へ出荷するのを阻害する働きがあることが分かっている。
保湿作用もあるし、天然のプルーンを原料としているという点で、ノンケミカル志向の人にも使いやすい美白成分。
まとめ
- メラニンの材料を減らす
- メラニンを作れないようにする
- メラニンを出荷できないようにする
この3段階をしっかり抑えることで、かなり効率的に美白を実現することができる。
次回は最終回。メラニンができてしまって、出荷もされてしまった後にどうするか?について書いていく。