本人は「緊張しているだけ」なのに、目上の人に「生意気だ」「不遜だ」と思われてしまう悲劇について。
自分では縮こまっているつもりなのに、なぜか周囲から敵意を向けられる。その原因は、緊張したときの「見た目」にある。
緊張してこわばっているだけなのに相手を不愉快にしている
緊張症・あがり症で、対人恐怖・赤面症など抱えていると、非常につらい事実ではあるけれど、
わたしは緊張しているだけなのに、
相手に攻撃される
という理不尽が、得てして起きやすい。
なぜか。それは、緊張状態と攻撃態勢が、身体的にはほぼ同じ状態だからだ。
緊張状態 = 攻撃態勢
緊張すると、肩が上がり、あごが前に突き出て、眉間にシワが寄る。呼吸は浅くなり、体全体がこわばる。これは、まさに「臨戦態勢」の姿勢そのものである。自分の内側では怯えているだけなのに、外から見ると「いつでもかかってこい」と構えているように映ってしまう。
つまり、緊張しているとき、私たちの表情や姿勢は、
- いつでも、戦ってやる!
という状態に整ってしまうということ。
緊張状態が相手の本能的なかんに障ってしまう
この「緊張状態 = 攻撃態勢」は、相手の本能的なかんに障ってしまうことが多い。
だから、こちらとしては、
- 気が弱くて、ただ緊張して、体が硬くなっている
という認識なのに、
- 「なんだ、その態度は!」
- 「何か、文句あるのか!」
と、相手に思わせてしまうということ。
ここが苦しいポイント。緊張すればするほど、相手の敵意を引き出してしまう。そして相手の敵意を感じると、さらに緊張が増す。負のスパイラルに陥りやすい構造になっている。
緊張しているときの自分の、見た目に気付くことが第一歩
緊張していると、頭がいっぱいになって、自分のことしか、考えられなくなる。
そのとき、
- 緊張して、大変な思いをしている自分
- 緊張して、情けない姿になっている恥ずかしい自分
にフォーカスすることはあっても、
- 緊張した結果、態度が攻撃的に見えている自分
にフォーカスすることはまずない。ここに気付くことが、最初の第一歩となる。
「気弱で人見知りな自分」だけでなく「攻撃的な自分」に気付く
内側から見ると、
- 気弱な人見知りな自分
しかし、外側から見ると、
- 攻撃的な自分
になっていることに気付くこと。このギャップを認識すること。
そして、
- それをゆるめよう
というほうへ、思考を持っていくこと。
「自分は怯えている被害者だ」という自己認識だけでは、問題は解決しない。「自分の緊張が、相手には脅威として伝わっている」と理解したうえで、それをゆるめる方向へ意識を持っていくことが大切。
ただし、
- 無理な笑顔
- 相手のご機嫌取り
などは必要ない。それをやると、ますます緊張症がひどくなるので、やめたほうが良い。ではどうすればよいのか。
緊張しているときに「態度が悪い」と勘違いされるのを防ぐ方法
ここから対策について。
❶ 力を抜く
まず、
- 力を抜く
というのは、大切。
- 力が入っていると怖い人に見える
- 力が抜けていると丸い人に見える
ということをハッキリと意識しながら、力を抜く。
漠然と力を抜こうとしても抜けないので、次の動作を行うようにする。
力を抜く動作
- 肩を下げる
- あごを引く
- お尻の穴をゆるめる
この3つをやるだけで、力が抜けやすくなる。
❷ 目線を合わせる
目線を合わせるのは、対人恐怖の人にとって難しいこと。しかし、非常に効果が高い方法なので、少しずつチャレンジしてみてみる価値はある。
緊張してこわばると、多くの人が、相手と目線を合わせられなくなる。下を向いたまま、
- 「ハイ、ハイ」
と返事をしたり、うなづくだけになってしまったり。
目線が合わないと、それだけで相手は
- 「自分を邪険に扱われた」
と感じてしまう。これもまた、理屈ではなく本能の反応だ。目を合わせない=敬意がない、と人は無意識に判断する。
どうしても直視できない場合は、相手の眉間や鼻のあたりを見るだけでもよい。相手からは「目が合っている」と感じられる距離感になる。
❸ その場から退出する
あまりにも緊張してどうしようもないときや、赤面症・多汗症・震えなどの身体的症状が出すぎてしまったときは、思い切って、
- その場から退出してしまう
ほうが、傷が浅くて済む場合もある。
無理に耐え続けて「態度が悪い人」という印象を植え付けるよりも、一時的に離脱して体勢を立て直す作戦だ。
退出の口実としては、次のようなものが挙げられる。
- 体調が悪い(腹痛、頭痛、吐き気など)
- めまいがする
- 咳が止まらない
- 一時的に声が出なくなった
- コンタクトレンズが外れた
- 資料を忘れた etc.
緊張のせいで、これ以上、損をしないように
緊張症の場合、学校や会社などの社会生活で、数え切れないほどの嫌な思いと、損をしてきたはず。
能力があっても、緊張による態度のせいで正当に評価されない、やる気があっても、こわばった表情のせいで「反抗的」と見なされる──。
本当に理不尽だけれど、しかし、相手の本能的な反応を変えるのは難しいことも事実。だからこそ、自分の側でできる対策を工夫する。
被害を最小限に抑えるために、
- 態度が悪い
と思われない自衛を工夫することが、生きやすさの一歩となる。

