9月7日の午後から9月8日にかけて、異常な眠さに襲われた。眠り出すと、昏睡する勢いで寝てしまう。今日(9月9日)になって、ようやく異常な眠気は抜けた感じがある。
いったい自分の体に何が起きたのか。過眠について調べようとしていたら、思いがけないキーワードにたどり着いた。「太陽フレア」だ。同じ時期に異常な眠気を感じた人が、かなり多かったらしい。
友人がSNSで「眠いのは太陽フレアのせいかしら」とつぶやいていた
「太陽フレアのせい??」と気付いたきっかけは、SNSで友人が、
「眠いのは太陽フレアのせいかしら」
とつぶやいていたこと。
太陽フレア?と思って調べてみると、9月6日夜にNASAから最強クラスのフレアが2回発生したと発表があったことを知った。
情報通信研究機構(NICT)のプレスリリースによると、日本時間9月6日20時53分に発生したフレアは「X9.3」。太陽フレアの規模はX線の強度で弱いほうからA・B・C・M・Xの5段階に分類されるが、Xクラスは最大等級だ。そのなかでも9.3という数値は、2006年12月以来じつに11年ぶりの巨大フレアだった。通常の1000倍以上のX線強度に達したという。
この爆発に伴い、高温のコロナガス(CME:コロナ質量放出)が地球方向に噴出。NICTの予測では9月8日の午後に地球へ到達する見込みだったが、実際にはそれよりも早く、8日の午前7時ごろに到達が確認されている。
NICT-情報通信研究機構「プレスリリース | 通常の1000倍の大型太陽フレアを観測」
太陽フレアとは何か?
この太陽フレアって何?というと、「太陽における爆発現象」のことなのだそう。
太陽フレア(たいようフレア、Solar flare)とは太陽における爆発現象。別名・太陽面爆発。太陽系で最大の爆発現象で、小規模なものは1日3回ほど起きている。多数の波長域の電磁波の増加によって観測される。特に大きな太陽フレアは白色光でも観測されることがあり、白色光フレアと呼ぶ。太陽の活動が活発なときに太陽黒点の付近で発生する事が多く、こうした領域を太陽活動領域と呼ぶ。
太陽フレア – Wikipedia
太陽の表面にある黒点の付近で、磁場のエネルギーが爆発的に解放される現象で、水素爆弾10万〜1億個ぶんに相当するエネルギーが放出されるという。太陽系のなかで最大規模の爆発現象にあたる。
小規模なものは1日に3回ほど発生しているが、今回のような大規模フレアはめったに起きないとのこと。
太陽フレアと眠気:公式には人体に直接的な健康被害をもたらす根拠なし
公式見解としては、太陽フレアが地上にいる人体に直接的な健康被害をもたらす根拠はない、とされている。
地球は磁気圏と大気層というバリアに守られており、太陽フレアから放出されるX線やガンマ線、高エネルギー粒子の大半は地上に届く前に遮断されるからだ。脳科学者の見解でも「脳や体への悪影響を心配する必要はない」と明言されている。
ただし、研究レベルではまったく別の話が進んでいる。
磁気嵐が人間の体内時計に影響を及ぼす可能性を示唆する研究が複数ある
太陽フレアに伴って発生するコロナ質量放出(CME)が地球に到達すると、「磁気嵐」と呼ばれる地磁気の大きな乱れが生じる。この磁気嵐が、人間の体内時計に影響を及ぼす可能性を示唆する研究が複数存在するのだ。
夜間のメラトニン分泌量低下
とくに注目されているのが、メラトニン(睡眠ホルモン)との関連。ノルウェーの高緯度地域で行われた研究(Weydahl et al., 2001)では、地磁気活動が活発になると、夜間のメラトニン分泌量が低下する傾向が確認された。メラトニンは体内時計(概日リズム)を調整する中心的なホルモンであり、その分泌パターンが乱れれば、異常な眠気や不眠といった睡眠障害につながりうる。
コルチゾールやメラトニンのバランスを崩す
英国王立協会の紀要に掲載された論文(Close, 2012)は、さらに踏み込んだ仮説を提唱している。人間の体内にあるクリプトクロムという磁場感受性のタンパク質が、磁気嵐によるストレス応答を仲介し、視床下部-下垂体-副腎系(HPA軸)を通じて、コルチゾール(ストレスホルモン)やメラトニンの分泌バランスを崩す可能性がある、というものだ。
メラトニン経路を抑制・うつ様の行動を悪化させる
2025年に公開された動物実験の研究(ScienceDirect, 2025)でも、中程度の模擬磁気嵐がラットのメラトニン合成を活性化させた一方、極端に強い磁気嵐はメラトニン経路を抑制し、うつ様の行動を悪化させるという結果が報告されている。
「太陽フレアで眠くなる」は科学的にありうる
ここまで見てきたように、「太陽フレアで眠くなる」というのは、単なるオカルトやスピリチュアルの話ではない。
- 磁気嵐→地磁気の乱れ→メラトニンや自律神経系への影響
という経路で説明しうるメカニズムが、少なくとも仮説レベルでは科学的に提示されている。
現時点では因果関係が確立されたわけではないけれど、太陽フレアに伴う磁気嵐が、通信衛星の障害やGPS測位の誤差増大、短波通信の途絶など、電子機器に対して明確な影響を及ぼすことはたしか。実際に2017年9月8日には、国土地理院がカーナビやスマートフォンの測位精度が大幅に低下した時間帯があったと報告している。
GPSの精度を狂わせるほどの磁場の乱れが、電気信号で動いている人間の神経系にまったく影響しないと考えるほうが、むしろ不自然だと思う。
磁気嵐は社会インフラへのダメージも深刻
太陽フレアの影響としては、社会インフラへのダメージも心配されている。
大規模フレアが発生した場合の最悪のシナリオ
総務省が2022年に公表した報告書では、100年に1度クラスの大規模フレアが発生した場合の「最悪のシナリオ」が示されている。
携帯電話の通信やテレビ放送が最長2週間にわたり断続的に利用不能になる、GPS衛星の精度が大幅に低下する、広域停電が発生する——。スマホが使えなくなる程度の問題ではなく、警察・消防・救急の通信が機能しなくなる可能性すらある。
カナダでは磁気嵐による大停電が発生
じつは1989年にカナダのケベック州で、磁気嵐による大停電が発生した前例がある。約600万人が9時間にわたり電力を失った。このときの太陽フレアはX4.6クラスであり、2017年のX9.3よりも小さい規模だった。
太陽活動はおよそ11年の周期で変動し、2024〜2025年ごろが極大期のピークとされてきた。近年は予測を上回るペースで活動が活発化しており、2024年5月には日本国内でもオーロラが観測されるほどの大規模な磁気嵐が発生している。
自分の体で感じた違和感を無視しない
体調への影響を日常的に実感している整骨院の施術者が「毎朝、太陽フレアの計測サイトを確認してから診療している」と語っているのも、興味深い。
気圧の変化で頭痛やめまいが悪化する「気象病」は医学的にも認知されるようになったが、太陽活動の影響については、まだ科学と体感のあいだに大きなギャップがある分野だと思う。
だからこそ、自分の体で感じた違和感は無視しないようにしたい。異常な眠気が続くなら、まずは生活習慣や基礎疾患を疑うのが最優先ではあるけれど、原因不明の不調が太陽活動の活発な時期と重なっていないか、宇宙天気情報をチェックしてみたい。
NICTの「宇宙天気予報」サイトでは、太陽フレアや磁気嵐の情報がリアルタイムで公開されている。
正直、きちんと知るまでは、太陽フレアってオカルトやスピリチュアルのカテゴリの話かと思っていた。でも、自分の体調変化を記録し、太陽活動と照らし合わせてみる。それだけでも、原因不明の不調に振り回される不安が軽くなるかもしれない。

