「肛門からコーヒーを入れて出す」という、それだけ聞くと珍妙な健康法がある。
それは、コーヒーエネマ(コーヒー浣腸とも言う)。腸内洗浄の方法の一つ。
このコーヒーエネマを、毎日まじめに実践していたときのことを書いてみようと思う。
※現在はコーヒーエネマはやめた。やめた経緯とやめた理由も記載している。
コーヒーエネマ初体験の日のこと
私は、長年つらい便秘に悩まされていた。
便秘はダイエットの大敵という意識があったので、「痩せたい」という意味でも、コーヒーエネマや腸内洗浄に興味を持っていた。
そんなある日、楽天で探し物をしている途中で、たまたまコーヒーエネマキットの商品ページへたどり着いた。
レビューを読み込むうちに、ムクムクと欲しくてたまらなくなった。
- 「コーヒーエネマで肌の透明感が出た」
- 「コーヒーエネマを始めてから●kg痩せた」
- 「コーヒーエネマで便秘とは無縁になった」
そんな絶賛の口コミを読んで、セットを衝動買いしたのが最初。
その後、コーヒーエネマについての本も読んだ。
美容にもダイエットにも良くて、体が健康になるのなら、試してみたいと思った。
点滴みたいな、氷枕みたいなキット
そして、薄水色の氷枕のようなシリコンバッグから、点滴風の細い管が出ているキットが自宅に届いた。
コーヒーは「カフェコロン」が付いているもの。
コーヒーエネマの方法が書いてある白黒のプリント用紙が1枚同封されていた。それとにらめっこしながら、コーヒーエネマを行うイメージトレーニングをした。
初めてのコーヒーエネマ、場所はトイレで行った
結論から書くと、私は初めてのコーヒーエネマの場所にトイレを選び、そして失敗した。
(幼い頃に浣腸されて我慢がとても苦しかった記憶があるので、トイレでコーヒーを入れて、すぐ出せた方が安全だと思い、トイレで行ったのだった。それが間違いだった)
コーヒーを腸内に入れるのは、思ったより簡単だった
コーヒーエネマに使うコーヒーは、普通の缶コーヒーの形をしている。それを水で希釈して1リットルにして使用する。
希釈する水は冷たいとおなかを冷やしてしまうので、38度くらいのぬるま湯を入れることになっている。
お尻の穴から1リットルもコーヒー液を入れるだなんて、最初は信じられないと思った。
しかし、やってみると、これが意外に入ってしまう。
シリコンバッグに希釈したコーヒーを入れる。そのシリコンバッグからは、点滴のような細いチューブがつながっている。
チューブの端には、肛門に入れやすいよう加工された、プラスチックの先端が付いていている。それを、肛門に入れる。
チューブの先から勝手にコーヒー液が漏れ出さないように、先端近くのチューブ部分にストッパーが付いている。
肛門にしっかり先端を入れてから、ストッパーを外すと、コーヒー液が腸の中へと流れ出す。
シリコンバッグを引っかける高さでコーヒー液の勢いが決まる
このとき、シリコンバッグは肛門よりも高い位置に引っかけておく(プラスチックのS字フックが付いていて、引っかけられるようになっている)。
肛門とシリコンバッグとの高低差があればあるほど、コーヒー液が勢いよく入っていく。
あまりに勢いが良すぎると、すぐに便意が来てしまうし、勢いがなさすぎると、まったく入っていかない。なので、程良い高さを見つけるのが、まずコツになる。
途中で止まってしまう場合は、先端の向きを調整する
シリコンバッグの高さが適切でも、肛門に入れた先端の向きが悪いと、腸の中でコーヒー液の出口がふさがってしまい、途中でコーヒー液が止まる。
その場合は、先端の向きを手で回したりして調整すると、勢いよく流れ出したりする。
あれよあれよと初回から1リットル吸収
初めてのコーヒーエネマなのに、たいした違和感もなく、どんどん腸の中にコーヒー液が吸い込まれていく。気付けば、シリコンバッグに入れた1リットル、すべてなくなっていた。
コーヒー液が入ったおなかは、ポッコリと膨らんでいる。おもしろい。
チューブを抜く瞬間にコツがいる
コーヒー液が腸内に入ると、便意が来るが、すぐに排出してはいけない。
一度、お尻のチューブを抜いて、おなかのマッサージを行う必要がある(3〜5分程度、コーヒー液を腸内にとどめたまま、マッサージする)。
チューブを抜くときが難しい!
マッサージを行うために、チューブを抜いたのだけれど、ここで失敗した。
不用意に抜くと、チューブ内に残っているコーヒー液が、抜いた瞬間に飛び散るのだ。
だから、肛門からチューブを抜く前にストッパーをかけること。これが必須。
でも、それだけでは十分ではない。
ストッパーをかけても、ストッパーの先に残っているコーヒー液は飛び散ってしまう。
これが飛び散らないようにするためには、肛門からチューブを抜くときのコツがある。
採血で注射針を腕に刺した後、看護師さんが注射針を抜くときを思い出して欲しい。脱脂綿で注射針を押さえるようにしながら、スッと抜くはず。
それと同じように、お尻をトイレットペーパーで押さえながら、スッとチューブを抜けば、コーヒー液が飛び散らない。
初回はマッサージもそこそこに排出
本来は、コーヒー液をおなかの中に入れた後、腸の隅々までコーヒー液を行き渡らせるために、3〜5分のマッサージをすることになっている。
しかし、初回は3分もマッサージする余裕はなく、強い便意が来てしまい、我慢できずにすぐに排出してしまった。
排出されたものは、シャーシャーと水分ばかり。入れた分のコーヒー液が主体で、時々、ぽろっと固形が混じっているかな?程度だった。
2回目からはコーヒーエネマをお風呂で行うように
1回目は失敗しながらも、一通り行うことで、流れがつかめた。そして2回目からは、お風呂で行うようになった。
お尻からチューブを抜くときに、コーヒー液が飛び散るリスクがあるので、お風呂の方が安心だ。
それに、トイレでコーヒーエネマを行っても、結局使った後の道具をお風呂で洗わなくてはならない。それなら最初から最後までお風呂で行った方がラク。
最終的にたどり着いたコーヒーエネマの方法
いろいろ試行錯誤しつつ、最終的には次のような手順でコーヒーエネマを行うところに落ち着いた。
- キッチンでぬるま湯を準備し、ぬるま湯を1リットルのペットボトルに入れる。お風呂は沸かしておく。
- ペットボトル・シリコンバッグ・コーヒー缶を持ち、服を脱いで浴室に入る。
- シリコンバッグにペットボトルのぬるま湯とコーヒーを入れる。
- 浴室のタオル掛けにシリコンバッグをかけ、チューブを肛門に入れて、コーヒー液を注入する。
- コーヒー液の注入が終わったら、お尻からチューブを抜く。
- おなかにコーヒー液が入ったまま、手早くシリコンバッグを洗浄する。
- 湯船に移動して、お風呂のお湯に浸かりながら、おなかをマッサージする。
- 3〜5分が経過したら、お風呂から上がり体を拭いて服を着て、トイレへ行き排出する。
できるだけ寝ている状態に近い姿勢でマッサージした方がその後の排出の調子が良いので、浴槽の中で寝そべるような姿勢をする。
手慣れてからも、不発の日は度々あったけれど、うまくいくと、かなりの爽快感。
ガシャーッ、ズバズバ、スポーン、、、、
で、終わった後は、おなかがペタンコ。コーヒーエネマで誘発された便意は継続しない。出したらそれで終わり。
下剤の場合は、一度飲むと一日中、便意と腹痛を覚悟する必要がある。しかし、コーヒーエネマはそのとき限り。それが、下剤よりも便利だった。
コーヒーエネマの社長逮捕でコーヒーが手に入らなくなる
その後、ネット上でコーヒーエネマの賛否両論を見つつも、下剤よりはまだマシだろう、という気持ちでコーヒーエネマを続けていた。
しかし、あるとき突然、コーヒーエネマが全国区になった。
カフェコロン販売元の社長が逮捕されたのだ。
ちなみに、その頃は、カフェコロン自体は使っていなかった。より割安な、「ドクターコーヒー」というものを使っていた。
しかし、逮捕された後、どこを見ても、コーヒーエネマ用のコーヒーが手に入らなくなった。カフェコロンはもちろん、類似品もすべて。
何らかの指導があったのかもしれないが、多くの人が、困ったと思う。
カフェコロンの代替品としてお湯・コーヒー・EM菌などにチャレンジ
私は、カフェコロンの販売会社の関係者が逮捕されたことで、コーヒーエネマへの不安が出た、というのはない。
コーヒーエネマ自体は、ゲルソン療法など、コーヒーエネマのルーツや理論を自分で調べて、実施していたので。

ただ、逮捕劇があってから、コーヒーが入手できなくなったことは、単純に困った。
仕方ないので、ただのお湯でやってみたり、自分でコーヒーを淹れたり。
試行錯誤した結果、本当に自己流だけれど、掃除用に購入したものの、何なのかよくわからず使い切れなかった「EM菌」を入れたお湯で、コーヒーエネマをやっていた(もはや、コーヒーエネマではない)。
私はEM菌についてはよくわからないけれど、いろいろ試した中で、EM菌が一番、出が良かったのだ。
最終的にはコーヒーエネマがないと出ない浣腸依存の体が嫌でやめた
しかし、そうこうしているうちに、だんだんと「面倒だ」という気持ちが出てきた。
熱心に毎日欠かさず行っていたところから、1日おき、2日おき、3日おき……と期間が空いていった。
最終的には、コーヒーエネマがないと自力で排便できない体が嫌でやめた。だって、旅行中とか、どう考えてもコーヒーエネマできない。
結局、浣腸依存症になっていた気がする
本来の、ゲルソン療法のコーヒーエネマは、便秘解消法ではない。
というのが、ゲルソン療法におけるコーヒーエネマの役割。
そんなコーヒーエネマを、腸内の便を排出するための浣腸代わりに使っていても、自力で排出できる腸を育ててくれる訳ではなかった。
それどころか、
- コーヒーエネマをしないと、まったく出ない
という状態に陥っていた。浣腸依存症だった。
コーヒーエネマは隠すのが大変
もう一つ、コーヒーエネマを行う上で、心理的な負担になっていたこと。
それは、コーヒーエネマは、あまりにもやっている姿や行為自体が際どすぎて、万が一、人にバレたときのダメージが計り知れないということ。
そんな、人に言えない行為に依存することは、リスクだと思ったし、コーヒーエネマを行っているときの自分の姿を、自分が好きではなかった。
最後は体の感覚。体が求めなくなった
あとは、体の感覚。自分にとって合う、自分に必要なものだったら、自然と体が欲するはず。
しかし、私の体は、徐々にコーヒーエネマを敬遠する方へと動いていた。コーヒーエネマを行った後も、体調が良くない感じがしていた。
これは、真逆の人(コーヒーエネマをした後に、気分爽快で元気になる人)もいるわけだから、人ぞれぞれだと思う。
最後に
私はコーヒーエネマはやめたけれど、ゲルソン療法の一環としてのコーヒーエネマには、ものすごくポテンシャルがある気がしている。
だから、何らかの目的を持った、特別な療法としてコーヒーエネマを行うのはアリだと思う。
ただ、一般レベルの美容・ダイエット目的でコーヒーエネマを行うのは、体へのリスクも、心理的な負担も、大きいのでは?という印象。
コーヒーエネマ以外にも、腸を元気にする方法はいろいろある。
ちなみに私はその後、どこにでも売っている昔ながらの整腸剤「強力わかもと」を飲むようになって、自然に毎日快便が出せるようになった。