「夜、眠りについた後、朝までぐっすり眠れない」3〜4時間で目が覚めてそのまま眠れない対策は?

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夜、眠りについた後、朝までぐっすり眠れません。3〜4時間で目が覚めて、そのまま眠れないことが多いです。睡眠改善で何かよいアドバイス等ありましたらぜひお願いいたします。

私自身は「深刻に眠れない」という経験は多くないものの、睡眠に問題を抱えていた時期は長い。今までの体験や調べたことをベースに、書いてみたいと思う。

目次

まず知っておきたい「中途覚醒」のメカニズム

夜中に3〜4時間で目が覚め、その後眠れなくなる。これは睡眠医学では「中途覚醒」と呼ばれ、不眠症のなかでもとくに多い症状のひとつだ。

人間の睡眠は、浅い眠り(レム睡眠)と深い眠り(ノンレム睡眠)を約90分周期で繰り返している。入眠後の最初の3時間ほどに深いノンレム睡眠が集中し、そこから後半にかけて徐々に眠りは浅くなっていく。つまり、3〜4時間で目が覚めやすいのは、深い睡眠の「谷」を越えた直後のタイミングにあたる。睡眠の構造上、ある程度は自然なのだが、問題はそこから再入眠できるかどうか。

中途覚醒の原因はひとつではない。ストレス・加齢・飲酒・カフェイン・寝室環境・血糖値の変動など、複数の要因が絡み合っている場合がほとんど。だからこそ「これさえやれば解決」という万能策はなく、自分に当てはまりそうな原因をひとつずつ潰していくアプローチが現実的だと思う。

以下では、私自身の体験に加え、信頼性の高い情報源から得た知見を組み合わせて、実践的な対策を紹介していく。

食事と栄養の面からできる対策

糖質制限をしているなら、夕食の糖質量を見直す

私の食事のベースは糖質制限だ。ただ、「糖質制限をしていたら不眠症になってしまった」という人が身近にいて、そのときに書いた記事が「糖質制限と不眠症「寝付きが悪い・眠くならない」糖質オフで目が覚める原因とは」だ。

糖質制限と不眠の関係は、栄養学的に説明がつく。

まず、睡眠に深く関わるホルモン「メラトニン」は、トリプトファン(必須アミノ酸のひとつ)→ セロトニン → メラトニン、という順で体内合成される。このトリプトファンが脳に届くには、糖質の助けが必要。糖質を取るとインスリンが分泌され、トリプトファンと競合するほかのアミノ酸(BCAA)を筋肉へ引き込んでくれる。結果、トリプトファンが脳へ届きやすくなるのだが、糖質を極端にカットすると、この仕組みがうまく機能しなくなる

もうひとつ見逃せないのが、「夜間低血糖」の問題。夕食で糖質を抜きすぎると、睡眠中に血糖値が急降下する場合がある。すると身体は血糖値を回復させようとして、アドレナリンやコルチゾール(ストレスホルモン)を分泌する。これらは交感神経を刺激する興奮系ホルモンなので、寝ている最中でも身体が「戦闘モード」に切り替わり、途中で目が覚める原因になりうる。寝汗・歯ぎしり・悪夢・朝の肩こりなどを伴う場合は、夜間低血糖を疑ってみる。

逆に、夕食で糖質を取りすぎた場合にも、血糖値スパイク(急上昇→急降下)が起き、同じメカニズムで中途覚醒を誘発する。糖質は「適量を、血糖値が急上昇しにくい形で」取るのがポイントだ。

糖質制限を厳格にやりすぎて眠れなくなった人は、夕食に少し糖質を足してみるとよいと思う。玄米甘酒を飲んでみるとか、豆乳にハチミツをたらして飲んでみるとか。この組み合わせはトリプトファンと糖質を同時に摂取できるので、睡眠の材料を効率よく補給できる。

私自身は糖質を取ると、眠くて仕方なくなってしまう体質だが、そうではない人でも、糖質があったほうが入眠しやすい傾向はあるのではないかと思う。

トリプトファン・マグネシウム・亜鉛を意識して取る

過去の記事を振り返ると、私の場合は「眠れない」よりも「起きられない(寝起きが悪い・だるい・過眠になる)」という悩みのほうが強かった。不眠にしろ過眠にしろ、「睡眠の質」に関わる栄養素には共通項がある。

私にとって体感の大きかった栄養素は、亜鉛・マグネシウム・アミノ酸(とくにトリプトファン)の3つだ。

トリプトファンは前述のとおりメラトニンの原料となる。大豆製品・乳製品・卵・バナナ・魚・ナッツ類に多く含まれ、とくに朝食で摂取しておくと、夜のメラトニン分泌に間に合いやすい。トリプトファンがセロトニンに変わるには日光を浴びる必要があり、さらにセロトニンからメラトニンへの変換には数時間かかるためだ。

マグネシウムは神経の興奮を鎮める作用があり、不足すると筋肉のこわばりや精神的な緊張が生じやすくなる。私は気象病(低気圧による不調)対策としてマグネシウムを飲み始めたのだが、結果的に睡眠の質にも良い影響を感じた。

亜鉛は寝起きの改善に効果を感じた栄養素だ。数百円で買えて、肌や髪にも良い変化があったので、コストパフォーマンスが高い。

睡眠に関する過去記事

寝室環境とリラックス習慣の面からできる対策

肌に触れる寝具を「気持ちいい」状態に整える

寝室で「肌に触れている部分」に安心感がないと、寝付きが悪くなる。私は布団に入った瞬間に、

「はぁぁぁ〜…、リラックスできる…」

という感じに整えるよう気を配っている。

これは幼少期の原体験に通じると感じている。「子どもの頃の寝るとき」に近い感触を再現してみると、驚くほど安心して眠りに入れる場合がある。

私の場合、“お日さまのにおいのするタオルケット”に包まれるのが大好きだったので、肌触りの良いタオルケットはもちろん、首もとや顔に触れる部分もタオル生地になるように、掛け布団の上部にバスタオルを挟んで調整している。

ちなみに、睡眠医学的に推奨される寝室環境の目安は、室温18〜25℃、湿度50〜60%程度。寝具の素材やパジャマの肌触りも含めて、「首もと・顔まわりが心地よいかどうか」はぜひチェックしたい。シーツやカバーの素材を変えるだけで、入眠の質がガラッと変わるケースもある。

眠れないときは瞑想音源を使う

私自身、眠れないときは瞑想の音源を聞くようにしている。何でもよいのだけれど、瞑想用のガイド音声やヒーリング音楽を流していると、そのうちに眠ってしまう。流派によっては「瞑想したまま寝てはいけない」という考え方もあるが、私は気にしていない。目的が「眠る」なら、寝落ちは大歓迎。

最近は、Apple Musicで「瞑想」と検索して出てきた「マインドフルネス瞑想トレーニング」というアルバムをよく聞いている。YouTubeにもさまざまな睡眠導入向けコンテンツがあるので、自分に合うものを探してみるとよいかもしれない。

東京大学の研究グループによる分析では、不眠症の認知行動療法(CBT-I)の各要素を検証した結果、マインドフルネスが睡眠改善に有効な要素のひとつとして挙げられている。東京大学医学部精神医学教室

そしてこの瞑想の本当のメリットは、

「眠れなくてもまあいいか」

という心理状態を作れる点にもあると思っている。たとえ眠れなくても、リラックスした状態で横になっているだけで身体は休まる。その「まあいいか」感が、眠気につながることも多い。

酔い止めで爆睡する体験談(ただし常用は非推奨)

それと、私は乗り物の酔い止めを飲む日がある。酔い止めを飲んでいる日は、眠くて眠くて仕方なく、すぐに寝てしまう。

これは酔い止め薬に含まれる抗ヒスタミン成分(ジフェンヒドラミンなど)の副作用による眠気だと思われる。市販の睡眠改善薬(「ドリエル」など)にも同じ成分が使われている。

ただし、耐性がつきやすく、連用すると効果が薄れていく。あくまで「たまたま飲んだ日によく眠れる」という体験談であり、睡眠対策として常用するものではない点はお伝えしておく。

自己流で市販薬を常用するのであれば、きちんと医療機関を受診して、適切な眠剤を処方してもらったほうがよい。

「眠れない」が慢性化しているなら知っておきたい知識

不眠の認知行動療法(CBT-I)という選択肢

ここまで紹介したような、生活習慣レベルの対策で改善する人も多いが、「夜中に目が覚める状態が週3回以上、3か月以上続いている」場合は、慢性不眠症の可能性がある。そうなると、根本的な解決には少し踏み込んだアプローチが必要だ。

近年、不眠症治療の第一選択として世界的に推奨されているのが、不眠症の認知行動療法(CBT-I)である。これは睡眠薬に頼らず、「眠れない状態を維持している生活習慣や思い込み」を修正していく心理療法だ。慢性不眠症患者の7〜8割で症状が軽減したという報告もある。持田製薬株式会社

CBT-Iの中核となる技法を2つだけ紹介しておく。

1つ目は「睡眠制限法」。これは逆説的だが、ベッドにいる時間をあえて短くする方法だ。たとえば、7時間ベッドにいるのに実際は4時間しか眠れていない人は、ベッドにいる時間を5時間に制限する。すると「疲れ」が溜まり、睡眠の密度(睡眠効率)が上がって深く眠れるようになる。睡眠効率が85%以上に安定してきたら、少しずつベッドにいる時間を延ばしていく。

2つ目は「刺激制御法」。これは「ベッド=眠る場所」という結びつきを脳に再学習させる方法だ。具体的なルールはシンプルで、「眠くなってからベッドに入る」「15〜20分ほど経っても眠れなければいったんベッドを離れる」「眠くなったらまたベッドに戻る」。ベッドの上でスマホを見たり読書をしたりする習慣がある人は、それをやめるだけでも変化を感じる場合がある。

ただし、CBT-Iは自己流で行うと睡眠不足が悪化するリスクもある。とくに睡眠制限法は運転業務や危険作業をする人には注意が必要なので、本格的に取り組むなら睡眠専門の医療機関での指導を受けるのが安全だ。

「眠らなきゃ」と思うほど眠れなくなる悪循環

「眠らなきゃ」と思えば思うほど、眠りは遠ざかる。これは気合いの問題ではなく、脳の仕組みの問題だ。

「夜中に目が覚めたらどうしよう」「明日に響くから早く寝なきゃ」と考えた時点で、脳は「危険に備えよ」と判断し、交感神経を活性化させる。つまり、眠りたいという切実な気持ちそのものが、覚醒を維持する燃料になってしまう。

CBT-Iの「認知再構成」という技法では、この悪循環を「眠れなくても身体は横になっているだけで休まる」「一晩眠れなくても、翌日死ぬわけではない」といった現実的な考え方に置き換えていく。実際のところ、ベッドで安静にしているだけでも、身体の回復はかなり進むのだ。

私自身も短眠傾向になることは多いが、それを問題としていない。3〜4時間で目覚めても、スッキリしていたら「もっと寝ないと」とは思わない。「寝たいだけ寝たらそれでOK」というスタンスだ。

不眠に悩んでいるときは、「眠れなくてもいいや」という開き直るのもなかなか難しいけれど、「眠らなきゃ」という焦りを、なんとか上手に手放すことも大切だと思う。

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