あるとき、「右肩に、できものできたな」と思っていた。それから1カ月ちょっとが経つうちに、徐々に大きくなっていき、最終的には受診→手術となった体験談。
最初に一番伝えたいことを書いておくと、このようなできものを手術する場合、できるだけ早く、それが小さいうちに手術したほうがいい。傷あとの大きさも傷の治りも、小さいうちに手術したほうがずっと良い経過になるのだから。
この記事では患部や傷あとの写真が出てくるので、苦手な方はご注意を。
コリコリして硬くてよく動くしこり(見た目は粉瘤にそっくり)
最初は「芯のあるニキビ」が右肩にできた、と思っていた。ムニュッと中身(芯)が出れば早く消えるけれど、そうならないと長引く、痛みもあるあいつ。

ところが、2週間経っても3週間経っても、ムニュッと出そうになる気配がない。淡々と成長を続けている。
見た目はネット検索して出てくる粉瘤にそっくり
ネットで検索してみると、見た目は粉瘤(ふんりゅう)にそっくりだ。
粉瘤とは、皮膚の下に袋状の構造ができ、その中に古い角質や皮脂がたまったもの。良性の腫瘍で、命に関わるものではない。ただし、放置すると大きくなったり、感染して腫れたりする場合がある。
悪いもの(悪性)ではなさそうだが…
一応、「悪いもの(悪性)だったらイヤだな」と思い調べてみると、良性のしこりには典型的な特徴があるらしい。
○良性のしこり
- 押すとコリコリ、クリクリと動く(周囲の組織と癒着していない)
- 表面がなめらかで、丸みを帯びている
- 痛みがないか、押したときだけ軽い痛みがある程度
いっぽう、悪性のしこりに見られる典型的な特徴は以下のとおりだ。
×悪性のしこり
- 押しても動かない(周囲の組織にがっちり癒着している)
- 表面がでこぼこしていて、境界がはっきりしない
- ジクジクと出血やかさぶたを繰り返す
- 成長が止まらず、どんどん大きくなり続ける
私の右肩のしこりは、押すとコリコリ動くし、表面もなめらか。痛みは押したときだけ。悪性の特徴には当てはまらなかった。
そのうち治るかと思ったけれどそうならず
最初は「時間が経てば、そのうち治るのでは?」と思っていた。似たようなできものなら、これまでの人生で数え切れないほどできているし、それらは自然に治っていたから。
しかし、2〜3週間経っても状況は変わらなかった。快方に向かう気配はなく、時間の経過とともに、少しずつ大きくなっている。
このできものの存在に気づいてから1カ月のあたりで、「これは、自然には治らないな」と判断。病院に行くことにした。
最初に皮膚科を受診して相談した
「皮膚にできたもの=皮膚科」という単純な連想で、まずは近所の皮膚科を受診した。結論からいえば、この選択は間違いではなかったが、最善でもなかった。
計測すると8mmで「何であるかは取ってみないとわからない」
皮膚科では、診察室で医師がしこりを触診し、定規で測定する。
「よく動く…8mm…」
などとつぶやいていた。で、
「これが何かは、取ってみないとわからない」
とのこと。
当日手術のつもりで話を聞くが「傷あと」のリスクが気になる
このクリニックでは予約時に「当日オペ希望」を選択するオプションがあった。それを選択していたので、当日そのまま切除してもらうつもりで話を聞いていた。
ところが、手術の同意書を見ながら説明を聞くうちに気になる点が出てきた。「傷あと」の問題だ。「傷あとが残る可能性がある」という点について、どのくらいなのか、質問をした。
部位的に、Tシャツなどなら隠れるが、夏にノースリーブなどを着れば露出する部位で、傷あとが目立つのはイヤだと思った。
傷あとを残したくないなら形成外科が専門
私が傷あとのことで引っかかって同意のサインができずにいると、皮膚科医がアドバイスしてくれた。
「傷あとが気になるなら、形成外科のほうが専門です。急いで取らなければならないものでもないでしょうから、形成外科で相談されたほうがいいかもしれません」
なるほど、そういう選択肢があるのか、とここで初めて気づく。その後ネット検索すると「傷あとを最小限に抑えることを専門とするのは形成外科」と理解する。
形成外科であらためて相談することにして、皮膚科では何も治療を受けずに帰宅した。
あらためて形成外科を受診して手術を受けた
その後、あらためて形成外科のクリニックを予約して受診した。
できるだけ傷あとが目立たないようにするが線になって残る場合もあるという説明
形成外科の医師は、傷あとについて率直に説明してくれた。
「できるだけ目立たないように縫合しますが、細い線が残る可能性はあります」
私としては、“形成外科の精いっぱいライン” ならそのまま受け入れたいという気持ちだったので、形成外科でやってあとが残るなら仕方ないなと思えた。
傷あとが確実にゼロになるようなことは医師もいえないが、皮膚の切開方向や縫合の技術によって、目立ちにくくする工夫はできる。形成外科はそこを専門としている。納得したうえで、手術をお願いした。
エコーをしたが診断はつかず(病理検査が必要)
手術の前に、エコー(超音波検査)を実施。しこりの大きさや深さ、周囲との関係を確認するためだ。
結果、「これが何であるか」という診断はつかなかった。皮膚科でも言われたとおり、確定診断には病理検査が必要らしい。切除して、取り出したものを調べて、はじめて正体がわかる。
形成外科医の話によると、こういったケースでは粉瘤が多いようだが、私の場合、粉瘤の典型的な特徴に当てはまらないのだという。皮膚とくっついているので中身だけくり抜くことはできず、皮膚ごと切除する必要があるというような説明を受けた。
手術の方法は、くり抜き法ではなく、紡錘形切開→完全縫合という手法になった。くり抜き法と紡錘形切開の違いは以下のページで非常にわかりやすく解説されていた。

あおむけに処置台に寝て13分ほどで手術完了
その後、手術へ。といっても「手術室」のような大げさな感じは皆無で、カーテンで仕切ってある処置室の簡易ベッドにあおむけに寝る。手術開始前に「10〜15分くらい」と予定時間を教えてもらった。
最初に麻酔をして、これは電動でブルブル?していた気がする。チクチクとした痛みがあった。麻酔が効いてからはまったく痛み感じず。ガチャガチャと何かやっているな〜という気配を感じるくらい。目もとにはタオルがかけられていたので、視界はさえぎられている。
「はい、終わりました」と言われて目もとのタオルが除去され、時計を見ると、開始から13分ほど。
その後、取り出されたしこりを見せてもらったりのプロセスはなかった。すぐに看護師が来て、ガーゼやらテーピングやらでガチガチに傷あとを固めたので、どうなっているかわからないまま、帰路についた。

かかった金額は10,460円
診察と手術、検査・病理診断、投薬などで、支払った金額は10,460円だった(3割負担の保険適用後)。
手術後のケア
手術自体は短時間で終わったが、その後のケアが重要だ。適切なケアを怠ると、傷の治りが遅くなったり、感染を起こしたりするリスクがある。以前、ほくろ除去をしたときに経過が悪くてヤキモキしたので、とにかく術後をていねいに過ごす大切さは身にしみている。
以下では、クリニックから受けた術後ケアの指導を交えつつ、どう過ごしたか書いていく。
当日(術後24時間)は濡らすのがNG
手術後24時間は、傷口を濡らしてはいけない。シャワーを浴びる場合も、患部は避ける必要がある。
でもシャンプーをしたかったので、念のためパーカーを着て保護しながら、顔を下に向ける方式でシャンプーした。シャンプー後はパーカーを脱いで裸になり、右肩にシャワーが当たらないように注意して、それ以外を浴びた。それほど難しくなくクリアできた。
痛みはほとんどなし
痛みは、麻酔が切れたあともほとんど感じなかった(強いていえば、ほんのときどき、チクチクする瞬間があったかな?という程度)。
それよりも、テープでがっちり固定されているので、そのテープのむずがゆさのほうが気になった(とはいえ、これもごく軽度)。
10回分の痛み止め(ロキソプロフェンナトリウム錠)と一緒に飲む胃薬(レバミピド錠)が処方されていたが、使う機会がなかった。
術後24時間経過したらガーゼを取って洗浄して保護(その後は毎日)
術後24時間以上が経過したら、傷あとに装着されていたガーゼとテープを外して、手術したところを洗う。泡(ボディソープ)をつけてOKとのことで泡で洗った。その後、シャワーで流し、きれいなタオルで拭いて、処方された軟膏(ゲンタシン軟膏)を塗る。
軟膏を塗ったら傷あとを保護する。保護するものは、状況にあわせて任意で選ぶ。血や汁が出るならガーゼ+テープ、出ないならばんそうこうでOKとのこと。
この作業(洗浄→保護)は抜糸までの間、毎日続ける。
注意点としては、キズパワーパットは使わないように案内があった。私は大きめのばんそうこうを購入して使った。
運動や飲酒などの制限事項
術後は、血流を良くしないことが最も大切なのだそう。傷口に負担がかかる行動も避ける必要がある。具体的には以下のとおりだ。
- 飲酒:術後3日(できれば1週間)は控える(血行が良くなり出血しやすくなる)
- 入浴:湯船に浸かるのは抜糸後から(感染予防のため)、1週間はぬるめのシャワーで
- 運動:少なくとも術後3日は行わない(傷口が開くリスクがある)
私は毎日行っているヨガ(ハードめ)ができなくなるのがつらかった。が、先にも述べたとおり、とにかく傷あとで問題が起きてしまったときのやっかいさををほくろ除去で体験しているので、指示には素直に従うことにする。
術後の1週間〜2週間の間の期間で抜糸をする
抜糸のタイミングは、術後1週間後から2週間後までの間で、都合のよいときに来院するようにいわれた。私はちょうど1週間後の日の都合がよかったので、術後1週間で抜糸した(抜糸可能期間の中で最短の日に抜糸したことになる)。
抜糸の日は、簡易ベッドのある処置室に案内された。医師が傷あとを確認すると、
「まったく問題ないので抜糸しますね」
とのことで、そのまま抜糸。ものの数十秒程度で完了。抜糸時のお会計は380円だった。
病理検査の結果は「皮下線維腫」だった
抜糸のときに病理検査の結果を聞くことができた。「良性の皮下線維腫」だったとのこと。悪いものではなかったということで、ひとまずホッとした。
医師からはそれ以上の説明はなかったが、帰宅してから調べてみた。皮膚線維腫とは、皮膚の真皮(深い層)にある線維芽細胞や組織球が増殖してできる良性の腫瘍。正式には「線維性組織球腫」ともいう。おもな特徴は以下のとおり。
- 数ミリ〜2cm程度の、やや硬いしこりとして現れる
- 色は肌色〜褐色で、皮膚の表面が少し盛り上がっている
- 成人女性の腕や足(とくに太ももやすねなど下肢)にできやすいが、体のどこにでも発生する
- 虫刺されや小さな傷がきっかけで発生する場合がある。ただし、正確な原因は解明されていない
- 悪性化する心配はほぼないが、自然に消えることもほとんどない
MSDマニュアル家庭版「皮膚線維腫」、アイシークリニック「皮膚線維腫の治療」
抜糸後のケア
抜糸後のケアは、サージカルテープ(マイクロポアテープなど)を自分で購入し、抜糸後の傷あとを覆うように貼っておく。これは最低でも1カ月、できれば3カ月貼っておくようにとのこと。テープの交換は3日に1回程度。
入浴や洗顔は、基本的にテープを貼ったまま行う。
傷あとを残さないためのケアについては、自分でも事前に調べていたので、テープを貼る重要性は理解していた。
- 傷が膨らんだり幅が広がったりするのを防ぐ(テープが“添え木”のような役割を果たし、皮膚にかかる張力を分散してくれる)
- 紫外線による色素沈着を防ぐ
- 衣服などによる摩擦の刺激から守る
抜糸が終わっても皮膚の下ではまだ傷の修復が続いている。 真皮が本来の支持強度の約90%まで回復するには約3カ月かかるといわれている。だからこそ、抜糸後もテープでの固定を続ける意味がある。
抜糸後は指導されたとおりにしっかりとテープを貼って過ごした。テープを交換するときに傷あとを見るが、傷の治りは順調。
中頭病院 形成外科「抜糸後のアフターケア(テーピング)」、ニチバン「術後にテープを貼って意味がある?」
手術後の傷あとの経過写真
ここからは手術後の傷あとの写真を時系列で掲載する。
手術前

手術翌日

1週間後(抜糸直後)

2週間後

3週間後

4週間後(1カ月)

5週間後

6週間後

できものが小さいうちになんとかしよう
振り返ってみると、「もっと早く受診すればよかった」という思いはある。
今までの人生で何百回も経験してきたニキビのような吹出物(膿が出れば治る)と同じような経過をたどると思っていたので、今回のしこりの存在に気づいてから「明らかにおかしい」と確信して受診するまで、1カ月くらい経過してしまった。
もっと早く受診して手術していたら、もっとしこりは小さかったので、手術の傷あとも小さくて済んだ。
今後は、少しでも違和感を覚えたら、手術で切除することになる可能性も踏まえて、できる限り早く受診しようと思う。

