「摂食障害になること」で救われている部分があるから、そうなっていたのだと気付いたとき、「摂食障害、ありがと。」という気分になった。
不思議な感覚だった。
摂食障害の根っこは深い
私は、過去に摂食障害を経験している。
そこからどうやって回復したかは、下記の3つの記事に書いた。
上記には、フィジカル面の現実的な対処方法を書いてあるのだけれど、一方で、摂食障害のメンタル的な根っこには、深いものがある。
一般的に、
- 摂食障害は、母親との関係に原因がある
といわれることが多い。
すると、
- 育った環境への憎しみ
- 母親への怒り
- 家族のせいで自分が苦しんでいるという被害者意識
が増幅してしまうことがある。
これは、間違っているとは言わないけれど、もっと主体的に摂食障害を捉えても、良いのではないかと思う。
「体重や食べ物で頭をいっぱいにすることによって向き合わなくて済んでいるものは何?」
摂食障害になると、頭の中が、
- 体重
- 食べ物
の2つで埋め尽くされる。
何十年も摂食障害を患うと、人生のほとんどを「体重」「食べ物」のことを考えて生きてきたような気がして、愕然とすることもある。
しかし、これは一種の「セーフティーネット」なのだ。
摂食障害は脳のセーフティーネット
摂食障害を患っている期間に、実は、
- 真っ正面から受け止めたら、つらすぎて生きていられないくらいの「何か」
を、抱えていたはずだ。
それについて、脳が考えなくて済むように、あえて、体重と食べ物で頭をいっぱいにしていた、という捉え方ができる。
私たちは、摂食障害によって、護られていた。
摂食障害に苦しんでいる間にも、私たちの心は成長し、徐々に「何か」と向き合う力を付けていく。
その頃、脳はそっと、摂食障害から私たちを手放してくれる。
「何から護られているのか」を考えてみる
摂食障害の泥沼の中にいるときは、記事の冒頭で紹介したような「超・現実的な対処」に終始するのが良いと思う。
そこから少し回復してきて、余裕が出てきたときに、
と考えてみる。
私は、思い当たることがたくさんあったので、それがボロボロ出てきて、
- 「ああ、私の体は、必死になって私を守ってくれていたんだな。不器用なやり方ではあったけど」
と、素直に思えたのだ。
だから、今、摂食障害の渦の中にいる人には、
- 「今は、つらいものを抱えすぎているんだね」
- 「それが収まるまでは、好きなだけ摂食障害してていいよ」
と、言ってあげたい。
摂食障害の報道が激しくなっているけれど…今、摂食障害の人に言いたいこと
今は、愛子さまの拒食症問題が週刊誌やワイドショーをにぎわせていて、
- 危険
- 警告
- 深刻
のような、けたたましい感じで不安感をあおっている。
愛子さまはもちろんのこと、そのような報道を見て不安になった家族のプレッシャーが強くなっている摂食障害患者の人もいるだろうな、と想像する。
言えることは、
- ゆっくりでいいよ。だいじょうぶだよ。
これだけ。今は、あなたには摂食障害が必要なのだから。